[携帯モード] [URL送信]
伊達家2



政務が滞っていると言っていたが、自分が寝込んでしまったせいで2人の手を患わせてしまった為に仕事に支障がでたのかもしれない…。
誤爆も良いところだったが、幸村は猛反省しながらこれ以上邪魔をする訳にはいかないと早々に甲斐に戻る事を決意する。

「政宗殿、片倉殿、お話中申し訳ござらん…。何やらお忙しいご様子の為、某これにて失礼させて頂きます。今回の事、何とぞご容赦下さりませ」

2人の会話に割って入ると、政宗と小十郎がはっとしたようにこちらを見てきて幸村は居心地の悪さを感じた。

「…某、準備が整いしだい甲斐に発ちます故…」

「Wait,何か急ぎの用でもあんのか?」
「あー…はい。そう言えば一つやり残していた事を思い出したので…」
特に何も無い事はバレバレだったらしい。
「…真田」
小十郎がぼそりと呟く。

だったら、と引き止めようとした政宗を小十郎が無言で制した。
「…わかったよ…。Hay,幸村。帰るんなら、悪いが一つ頼まれ事を引き受けてくれねぇか?これをオッサンに渡してくれ」
「おっ…さんとは無礼な!!」
「Sorry,Sorry…まぁ、そう怒るな。それより、頼まれてくれるか?」

幸村は言葉に詰まりながらも頷いて、差し出された書状を受け取った。

「どのみち、某も御館様に報告せねばならない事があります故。確かに、お預かり申した!!」



「Hum-,…あんた、随分顔がすっきりしたな」
「某の顔が何か…?」


「何でもねぇよ。それより、急いでるからってBreakfastくらい食べてく時間はあんだろ?付き合え」
「ぶ…?」
意味が分からず小十郎に助けを求めたが、「準備して参ります」と言ってさっさとどこかに行ってしまった。
「あー…朝飯食う時間はあるだろ?少し準備に時間がかかるだろうが、準備が出来たら呼びに行かせる。ゆっくり風呂でも入って身支度してろ」

用事があるから帰ると言ったはずなのに、幸村はうっかり頷いてしまった。
風呂を借り、朝にしては食べ過ぎなくらいご馳走になった。気付かなかったが、丸一日何も食べていなかったのでかなり腹が空いていたらしい。
つい話に花を咲かせてしまった為、結局奥州を後にしたのは昼近くの事になってしまった。

飯を食べている際、散々政宗にからかわれて腹も立ったが、幸村の心は晴れていた。
忙しいところ長居してしまったのは申し訳なかったが二人の気遣いが純粋に嬉しかった。


今のように未熟では、妻をめとる資格はない。

悩みの種だった事に揺るぎない答えを定めた幸村は軽快に馬を進めて甲斐を目指す。

何だか大声を出したくなってきて、誰もいないのをいい事に思いのまま叫んだ。

「御館さばあああぁぁ!!!この幸村、これより参上いたしまするぅぅぅ!!!」

ぬぅおおおおぉぉぉぉ!!


甲斐への道のりは、まだまだ始まったばかりだった。



[*前へ][次へ#]

5/7ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!