1周年感謝夢‐実写TFジャズ編
うつらうつら。
うつらうつら。
眠い。今非常に眠い。
限りなく眠い。
太陽の光が心地良く暖かいその日の午後、芳月は眠気と戦っていた。
一昨日からの徹ゲーが堪えているようだ。お陰で瞼が重いのなんのって。
ウトウトしながら本日の報告書(と言う名の金属生命体達による備品等の破壊に関する始末書)を書いているとベランダから銀色が顔を見せた。よう、と声が掛けられればその正体に芳月は一旦手を止め軽く手を振った。
『酷い顔だぜオネェチャン』
「仕方無いじゃんよ。眠いんだから。まあ自業自得だから何とも言えないけどさ」
『寝た方がいいんじゃないか?』
「正直寝たいけどこれを書き終わらない限りは駄目。寝れないんだなあこれが」
目に隈作っておいて言う事かとジャズが言えば芳月はハハハと苦笑って再び始末書に手を向けた。
「仕事はきっちり済ませにゃ、何か気持ち悪いからね」
『だけどなあ』
「だったら始末書のフラグを悉く立てんなエイリアン」
『わっ悪い』
「昔っから課題や宿題を後回しにすんのは好きじゃなくてねぇ。もうちょっとで書き終わるからその後寝…ってちょっ、ジャズ!」
突然ジャズがガラス戸を開けて、そこから手を伸ばしたかと思えば芳月を掴んで外へと引きずり出した。一体何をするんだとバタバタする芳月を余所にジャズは芳月を掴んだままずかずか歩いていき、数ある格納庫のうちの一つの壁に寄りかかって腰を下ろした。
芳月を己の膝に降ろしてやり、芳月の腹に腕を入れて落ちないようにしてやる。そして芳月に顔を近付けた…が、ゴンッと鈍い音と共にジャズが空いていた手で顔を押さえた。
芳月が最近常備しているスパナで強打したのだ。まあ人間の力は限られているので耐えられない訳ではないのだが何故だろう芳月という存在が攻撃力を上げているような気がする。
「まだ書き終わってないっつーとろうが」
『オオオ…!』
いかん、ちょっとプッツンしかかっている。芳月の低くなった声に一瞬ビクッとしたジャズだったがここで負けては男が廃ると己を奮い立たせた。
『だ、だけどな。俺は無理するオネェチャンは見たくねぇんだよ』
「何で?」
『えっ?』
「いやさ、別に死ぬ訳じゃなし、そこまで心配しなくとも」
にっ…鈍すぎる
いやもう以前から分かってたし経験済みだからアレだが、直面する度そう思わずにはいられない。
だがしかし今、これはチャンスだ。
いつもグッドタイミングでやってくるお邪魔虫はいない。今積もりに積もった想いをぶつける良い機会だではないか!
『芳月!』
「んー…?」
『俺が無理してほしくないのはな、芳月が大事だからであってだな、だから無理してほしくないんだよ。俺達と違ってすぐ体壊れんだからな。芳月はすぐ無理無茶するからな、出来ればもうちょっと自分大事にしろよ。出来る限りの時間を共有したいんだ。で、お…俺がそう思うのはな、芳月の事が……って!ねっ、寝てやがる…』
いつの間にかうなだれ、すー…っと小さな寝息が聞こえてきてジャズも思わずうなだれた。
(ここからが肝心だったのに!)
しかしジャズは気付かなかった。
芳月は寝ていた訳ではなく、あまりの恥ずかしい内容にわざと狸寝入りをしていた事を。
うっすらと目を開けて、芳月は1人こっぱずかしいと心の中でごちるのだった。
(変に熱いのは、この眩し過ぎる太陽のせいにしておこう)
1周年誠にありがとうございますv
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