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プロローグ
 眩しい銀色の光がより一層輝きを増す。普通なら目も開けてられないような光量だが、もうそれにも慣れてしまった。

 光の向こう、土煙の中、消えていった相手の姿を探す。これで終わりだとは思っていない。

 その期待に応えるように、濛々と立ち込める靄の中心で、ふらつきながらも立ち上がる人影が見えた。動きこそ緩慢ではあるが、剥き出しの殺気は、全身から余す事なく迸っている。無論、突き出す剣尖は俺の喉元からぶれない。

 相手に倣うように、こちらも自分の得物を、荒い呼吸を続けながら構えなおす。柄を握る手に力を込めると、それに呼応するように、金色(こんじき)の淡い光がすっと延びた。

 勢いに任せて飛び掛かる。そんな愚かな行為は冒さない。いなされて反撃を喰らうのが関の山だ。ただ、じりじりと、少しずつ距離を詰めるのみ。

 そんな緊張感の中、あと少しで相手の間合いに踏み込むという瞬間。何を思ったのかは自分でもよく分からない。だが気がつけば、勝手に口が動き、言葉を紡いでいた。

「なぁ、お前……“運命”ってやつ、信じるか?」

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あきゅろす。
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