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標の山
※化物語の後の話

草木も寝静まる丑三つ時。
忍野は目を覚ました。
「阿良々木君」
身を起こせばやや離れたところに阿良々木君が立っていた。
「よう忍野」
「…どうしたんだい阿良々木君こんなとる遅くに、また怪異に行き会ったのかい?」
「いや、そういうのじゃないんだ。ただ忍野の顔が見たくなって」
「子供が深夜に出歩くもんじゃないよ」
「悪い、最近八九寺がやたら俺の調子を気にしてくるんだよ。それを相談したくって」
「頭の調子をかい?」
「…お前さりげなく人が気にしていることを!」
「それについては後日教えるから、今日は遅いから帰りなよ」
「えっでもまだ忍に会ってないし」
「忍ちゃんはもうお眠だよ」
「…わかった。じゃあもう帰る、忍によろしくな」



「自分が生きす魂になっていることに気付かないとはね…」
生きす魂、生きす霊とも書く。
文字通り生きる霊。生霊だ。
もっとも有名なのは『源氏物語』に出てくる六条御息所だろう。
源氏を愛する余り、生き霊になり夕顔を呪う。
会いたい、逢いたい 
魂が抜け出す程恋い焦がれる想い
ダメなことだ いけないことだ
それでもうれしく感じてしまう
そこまで僕のことを想ってくれていたのか
僕のこと…好きでいてくれたのか
でも
何回も幽体離脱を繰り返しては体も魂も傷つく
もうさせてはいけない
戻れなくなってしまう
魂に体が
だからあの迷子ちゃんも警告したのだろう
「…結界でも強めとくか」
また阿良々木君が訪れた時に僕は
二度と来るなといえるだろうか?


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