50&
「さて問題です！あたしの好きな人は誰でしょうか！」
おなじくらすの苗字名前はそう俺に言った。ちなみに今、俺はハードな
メニューをこなしてきたあとでもうヘトヘトだ。ああ、野球部の奴ら
が皆そうなのかといったらそういうわけでもなくて、田島に関しては
論外だ。あいつはいつでも元気だ。そんな俺に追い討ちをかけるよう
にしてやってきたのが苗字で。誰にも言ってないけど俺の片思い。い
えるかこんなことっ！そんな苗字が好きな人とか言うから一瞬期待し
たけど、あー、期待はずれだ。
「そんなこと聞かれたってわかるわけねーだろ」
「泉ちゃんはツレないなー」
怒るぞってマジっぽく言えば苗字は笑って「冗談、冗談」と言った。
だいたい、ノーヒントで答えろって言うほうがおかしい、しかも好き
な奴の好きな奴なんて興味ないだろ普通。やっぱり自分じゃなきゃ嫌
だっていうのとかあるんだよ。
「んー、さすがにノーヒントはつらいかあ」
「せめて四択にでもしろ」
俺がそういうとしかたないなあと苗字は言った。四択なら俺にも可能性
があるかもしれない……、なんのだ？
「よし、じゃあいくよーＡサッカー部の人、Ｂバスケ部の人
Ｃ野球部の人、Ｄ陸上部の人。さあ、だーれだっ！」
「四択つったって部活だけかよ」
部活は大ヒントとか言って笑ってる苗字。こいつが完全に面白がってるこ
とは決まりだな。好きな人のヒントっつったって部活だけっていうか、こ
の四択おかしくね？何部の人でしょうかっていうやつだった？
「ＡからＤのどの部活に所属してるでしょうか！」
「はあ？さっきといってることちがくね？」
「だから！とりあえず部活あててみてよ」
「んなこと言われたってよー……あー？Ｃの野球部」
あってないとはおもったけれど、やっぱ期待してみたかったんだ。ほんと、
こんなん俺のキャラじゃねーと思うんだけど、こんな空回りしてんの俺だけ？
「わ！正解！なんだかんだ言って答えてくれるんだねー」
「（だってここまできたら好きな奴のこと知りたくなるじゃん！）」
「はい、これでひとつヒントでたよ、野球部の人です誰でしょー」
50&50とTELもあるよと付け加えた苗字。50&50なんて選択問題じゃねーのに
使えるわけないじゃんか。ＴＥＬだって誰にきくんだよ。
「これも四択にしぼれ」
「えー、仕方ないなあ。Ａ阿部君、Ｂ田島君、Ｃ廉君、Ｄ泉ちゃん」
え、なんで俺の名前はいってんの！いや嬉しいけどさ！だって、ここまで期待
させておいて、実は阿部あたりとかだったら超へこむじゃん。
「50&50つかうわ」
「50&50ですね？えっと、ＡとＣはきえまーす！」
俺残ってんじゃん、何で残ってんだよ。しかも田島ものこってんのかよ。確かに
あいつ馬鹿であほだけどまじすごいやつだ。それは認めてやる、だけど！
「Ｂの田島」
「ファイナルアンサー？」
「（だって俺とかいえねーじゃん）アンサー」
それからちょっとの間があいた。きっと変顔しながら焦らしてるときの時間なん
だろうけど…、この時間ってすっげー緊張するよな。
「（あー、色々複雑）」
「んー、残念。正解はＤの泉ちゃんだよー！」
「は！？」
「そうゆうことだからー、じゃねーっ」
神様ってまじでいるんだって、このときは思った。あー、これって告白ってうけと
っていいんだよな？いーんだよな？返事はもちろんきまってんだろ。
50
題名｜リライト様
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