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.天文科とクラスメイト


星が好きな奴に悪い奴はいない。小さい頃から星が好きだった私はお兄ちゃんにそんなことを言われた。何でも信じた私は今でもその言葉を信じてる。

「…先生」

パタパタと陽日先生の後をついていく。少しぶかぶかする制服を気にしながらわしゃわしゃと髪の毛を弄る。私が男の子に見えるかどうかは確信があるから大丈夫。たぶん。眼鏡を取ったらアウトだけど。

「ん?どうした?」

先生は顔だけをこちらに向けて明るく笑う。よくよく考えれば陽日先生も下手したら生徒に見えかねない。身長も低いけど、顔も童顔じゃないか。

「…女子、いるんですよね?」

身長の事が出かかって、勢いよく飲み込む。こんなに明るい先生だからもしかしたら気にしてはいないかもしれないけど。コンプレックスなんて人それぞれだし。差し支えのない、以前お兄ちゃんに聞いた話題を振る。

「おう!星月学園の紅一点、オレの自慢の生徒だ!」

「なんか、危なっかしいですね。」

「アイツは幼なじみがいるから大丈夫大丈夫……お、ここが相川のクラスだ!」

陽日先生は一つの教室の前で止まった。女子は一人だっていうから男ばっかだろう。人の前に立って話す事が得意な私でも柄にもなく緊張していた。大丈夫、いつもどうりでいけばいいんだから……



みんなの視線が刺さる中で、ありきたりな自己紹介をした。結局いつもの自分で喋る事はできなくて頭の中はグシャグシャ。指定された席につく間も視線が痛くて泣きそうになった。前の学校が女子校だった為、まるで立場が逆転。今更ながら怖く感じる。こんな男だらけの生活が当たり前になるのか。そういえば星月学園の紅一点の彼女は運がよかったのか同じクラスでしかも隣の席だった。チラッと隣を見ればぱちんっと目が合う。

「私、夜久月子。よろしくね、えっと相川…くん?」

「よ、よろしく…」

かわいい。否、かわいいというより美人寄りで細くてモデルさんみたいな女の子。なんか全く私と正反対で羨ましいというより照れてしまう。それにいい子そうだし。軽く微笑を向けると丁度よくチャイムが鳴った。

「相川君」

突然名前を呼ばれた。振り向けば独特の雰囲気を持つ三人の男子。夜久さんの隣に来た彼は優しそうに微笑を零した。後ろの二人は綺麗な赤毛の彼と少し不良っぽい彼。なんだか物珍しそうにこちらを伺っている。

「俺は東月錫也。こっちは七海哉太で、土萌羊。」

「よろしく、」

東月くんの紹介にぎこちなく挨拶する。東月くんの瞳には私が男の子に見えてるのかな。爽やかな人ほど裏があるっていうよね。後ろの二人にも視線を向けるとぱちんと土萌くんと目が合った。

「…相川って、女の子みたいだね」

…ん?今、なんて?一瞬言われた事に理解出来なくて目をパチパチさせる。近寄ってきた土萌くんは無表情で私のほっぺをぷにっと差した。

「こら、羊。人にはコンプレックスがあるんだからそういう事を言ったらだめだろ」

すかさず入った東月くんのフォローに少しほっとした。土萌くんは私の何を見て女の子と思ったのか、相変わらず無表情。ばれてはない、のかな?

「はあ?何言ってんだよ羊。ただのチビな男だろ?」

「チビ!?」

「本当だ。月子より小さいね」

わしゃわしゃ、お兄ちゃんみたいに頭を撫でられる。複雑な心境。これって友達なのかな?友達って思っていいのかな?
夜久さんを横目で見ると楽しそうに笑っていた。

本当、かわいいなぁ…







あきゅろす。
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