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黒の教団編
ライバル一掃計画



case2*リーバー・ウェンハム



この仕事を始めてから、かなり老け込んだ。


科学班班長の立場と毎日の激務に追われ、さらに仕事しない上司が付加され、目の下のクマや頬のやつれ具合は26歳とは思えない老け方だ。



妻子もなくこの仕事上、彼女を作る暇さえない。そんなんでいいのか、俺の人生。否、いいわけねぇだろうが。



俺にはエクソシストで一際可愛がってる四人組がいる。
十代の一番楽しい時期に戦場の第一線まで駆り出される彼らは、良くも悪くも自分の意志が強い。



その内の一人、アレン・ウォーカーは儚い外観とは一転、危うげな色香を秘めている。彼女を少女から女へと変えたのは神田ユウという若いわりに厳格なエクソシストだった。



出逢いが最悪だった二人がいつの間にかバカップルと呼ばれるまでになったのは意外だったが、喜ばしいことでもあった。



ただ、その神田が遠征に行っているからこれはもう、おこぼれを預かっても罰はあたらないという神の啓示としか思えない。



別に彼女をどうこうしようってことじゃない。ほんの少しでいいから自分が労働者じゃなく男としての時間を思い出したいだけだ。



そんなわけで、周りの色めきだった集団は邪魔でしかない。
プレゼントや付き纏い攻撃にうんざりしてるであろうアレンに効率良く近づくには、先に白百合ファンの連中を駆除すべきだ。



「即席地雷とかどうだ?爆竹にガラス破片仕込めば裂傷にはなるだろ」

「面白そうだけど、それやったら班長の残業時間が増えるだけじゃないかしら」

「ぐ……そりゃゴメンだな」

「普通に幻覚剤を投与したら楽じゃないかしら?霧状噴射にしたらベストよね」

「じゃあこの『五秒で飛翔☆理想郷』の原液を使おう」

「これは班長の発明?」

「途中までは室長で、飽きていらないくなったっつーから、俺が貰って品種改良した」

「素敵ね」



手を合わせて笑みを綻ばせたのは仕事しない上司の出来た妹だ。
若い子とお喋りして少し癒されたいと言ったら、『そこまで疲れてるのね』と最上級の憐れみの視線を送られ、かなり協力的になってくれた。…………複雑だ。



「問題はどうやって吹っかけるかよね。チマチマやってたらキリがないもの」

「ミスト掃除機を掛けてるフリしたらいいんじゃねぇか?呼吸器官に入ったらこっちのもんだ」

「班長、頭イイっ。それでいきましょう」



パンッと手を叩いたリナリーに頷いてみせ、俺は早速、掃除機の製作に取り掛かった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


班長、仕事しなよ。



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