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黒の教団編
貢ぎ物に最愛を込めて



本日の僕は機嫌がよろしくない。理由は明確、神田がいないからである。


最近は一緒の任務が続いてたから余計に寂しい。そしてそうゆう時に限って周りはほっといてくれない。理由は明確、やっぱり神田がいないからなのである。



本日の収穫は洋服、靴、アクセサリー、花、お菓子詰め合わせetc…神田が遠征に出た途端にこれだもんな。


食料はすぐに消費できるけど物はそうはいかない。花は枯れるまで、アクセサリー類は売るまで部屋に置いとかなきゃならない。はっきり言ってありがた迷惑。



美しさは罪、従って僕は罪人だ。



先に断っておくが、ナル発言じゃない。在るべき事実だ。



「えっと…キエさん、マオサさんお気持ちは嬉しいのですが…」

「「貰って下さるだけで結構ですからっ」」

「そうは言っても…」



今日一番のサプライズプレゼントはこの二人の持ってきた団服だ。


だけどねぇ、団服なんて貰ってもどうしようもないんですよ。元が頑丈に作られてるし、方舟の時ほど厳しい戦いは最近ないから形がなくなるほど破れることもない。


「デザインが脚を出すタイプですから、僕にはちょっと似合わないんじゃ……」

「「いいえ、似合いますっ」」



んなこたぁ分かってますよ。神田以外のトコで脚を曝すのが嫌なんですよ。そう簡単に拝ませたくないんですよ、柱の影からリナリーがシャッターチャンスを狙ってるのもバレてますからね。あー、口が毒を吐きたがってウズウズする。優等生ぶってると苦労が多いなぁ。


「絶対、似合いますよっ。一度でいいから着てみて下さいっ」



嗚呼、期待の眼差しが重い。

確かにリナリーと同じタイプの団服は可愛いフォルムだから惹かれる。神田の前で着てみたら、色々と盛り上がること間違いなしだろう。あ、ちょっと欲しくなってきた。貰うだけ貰っとこう。



「……聞き苦しい話なんですが……実はこないだの任務で脚に傷を作ってしまいまして……」


口元に手を当てて、伏し目になってさも申し訳なさそうに言う。もちろん二人の顔が引きつる様子を確かめながら。



「せっかく用意してくれたのに……」

「いえっ、ウォーカー殿っ!いいのですっ、そのようなことはっ!!」

「そうですっ。むしろ俺たちのほうが出過ぎたマネをしてしまってすみませんっ!!」

「ありがとう……キエさん、マオサさん」

「「…………………っ!!!」」


とどめに眉を下げて弱々しく笑む。おー、ハートが乱舞してる。10歳近く離れた小娘にいいように扱われちゃってますね。



「で、ではこれは処分して、」

「あぁっ、待って!」


それは困るっ!!
神田とイチャつく為の素敵アイテムがっ。


「えっ、あっ!?」


包みを抱えたキエさんの手に触れ、上目遣いで見やる。ちょっと瞳を潤ませるのがポイントだ。



「あー…えと、……お二人が僕のために用意してくれたものでしょう。とっても嬉しかったんです…その……傷が目立たなくなったら着させて貰いますね」

「「ウォーカー殿……っ」」



よし、つられて涙ぐんでくれた。さりげなく包みを受け取り、フッと息を吐く。単純でよかった。



二人は僕に一言断りあわあわと退散した。キエさんが『もう一生、手を洗わねぇぇぇっ』とかなんとか叫んで走り去り、その後をマオサさんが追い掛けてった。不潔な男って嫌いなんでちゃんと洗ってくださいね。



「ナマ着替えすればよかったのに」

「………リナリー」



僕にバレていたことなど初めから気付いていたのだろう。それでも、あからさまにカメラを構えるのは止めてほしい。


「サイズはぴったりなのよ♪」

「やっぱり……キミの差し金ですか。相変わらず楽しそうですね」

「うふふ、こんなこともあろうかと思って」



僕に憧れる新米隊員が恋人不在時を狙ってプレゼントと称して、ミニスカ団服を贈ろうと思うことがあるって?

リナリー、一体全体、何処から糸を引いているのさ。



「写真を撮らせて欲しかったのになぁ。今から着替えない?」

「いやですよ。一番に神田に見せるんですから」



でも八割ぐらい売り上げが回ってくるなら考えなくもないかな。いや、やっぱダメ。この身は神田のモノだから安売りしちゃダメ。


「うーん、こうなったらティムを手懐けて……」

「そういうのは僕がいないとこで言いません?」

「本当に聞かれちゃマズいことは隠すわよ。よりユーモアを求めてね」

「まったく……逞しいですね」



嘆息しつつ、抱えた包みを開いてみた。黒を基調とし赤いラインが際立つた団服は滑らかな肌触りだ。目の前に着てる人がいるから可愛さもお墨付き。


これを着た僕と、その僕を見た神田の反応が今から楽しみだ。これはこれで素敵な贈り物かな。



「神田はあと五日は戻らないでしょ?まだまだ楽しめそうね。うふふふふ〜」

「………その笑いやめて」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


アレンへの貢ぎ物は神田を喜ばせる物へとシフトします。
貰った本人の全てが神田中心だから(笑)



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