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黒の教団編
月を求める蛾のように、



立てば芍薬、座れば牡丹。歩く姿は百合の花。


神に愛された超絶な美を誇る、黒の教団アイドル『白百合の君』ことアレン・ウォーカー。


柔和な笑みと分け隔てない愛情はまさしく聖母。自らの辛苦の人生を受け止め、それでもなお強く在ろうとする彼女に庇護欲を擽られるのは必須。


だが、白百合の特別な恩恵を受けられるのはたった一人。彼女は誰もが認める高嶺の花なのだ。


そんなおり、スズメ蜂が遠征に出た。


白百合の君に触れるのを許された獰猛で狡猾な蜂の王者は、今朝方、ヨーロッパへと任務に向かった。


そう、神は我々を見捨てなかった。


「いいか、お前らっ。神田がいない今、この機を逃したら一生、白百合には近付けないと思えっ」

「「「おぉぉぉぉっ!!!」」」



「……………何さ、あれ?」



遠目からその異様な熱気を目の当たりにした赤毛の青年は、口元を引きつらせて指を差した。


隣りにいた青緑がかった黒髪をした少女が肩を竦める。



「第三十四回アレンくん争奪戦みたいよ」


そんなにやってないだろうというツッコミはこの際なしだ。自分たちの知らないトコで繰り広げられてたかもしれないし。


「懲りないねぇ。ユウが蜂ならリーバー班長たちはさしずめ蛾ってとこか」

「とばっちり受けないように気をつけてね、ラビ」

「リナリー、それってネタ振りさ?」

「どうかしらね」



アレンが白百合なら、リナリーは薔薇だろうか。彼女の周囲は刺があってなかなか近付かせてくれない。そんなお堅い性格も好きだけどさ。


でも、アレンにだってそれは言えることだろ。外面を上手く作ってるから白百合なんて呼ばれてるけど、中身を知るラビから言わせてみればアレンの腹黒に敵う奴はまずいない。アイツは根っこの先から染まりきった黒百合なんだってば。



「嫌な予感がすんだよなぁ……」

「あら、面白そうな…の間違いでしょう?」



やたら血走った団員たちを見やり、二人は別々の意味で息を吐いた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


神アレ♀←他多数。
傍観者にラビリナ夫婦。



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あきゅろす。
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