黒の教団編
Free boy
*Free boy*
「ティモシー、ティモシー♪」
「だーっ、離せってばー!」
「いーやーでーすー。可愛いなーもうっ」
羽交い締めにして持ち上げてるからティモシーは脚をパタパタさせてる。その焦り具合がまた可愛くて胸がキュンとなる。
「ほどほどにしとけよ」
「分かってまーす」
相変わらずお堅い事を言う神田を軽くいなす。任務帰りに思わぬ癒しと出逢えてテンション上がりまくっちゃったんだもん。ちょっとぐらいハグさせてよ。
「ティーモーシー♪」
「あーもー……姉ちゃんてば」
「ア、アレンさんっ!あまりくっつかないで下さい、不健全ですっ」
「あや?エミリア……ヤキモチですか?」
「な……っ、ち、違います!」
そんな力いっぱい否定しなくてもいいのに。逆にティモシーが不憫だよ。ほら見てよこれ、腕の中で大人しくなっちゃったじゃない。
「わっ、私はティモシーの専属家庭教師ですよ。正しい方向へ導くのは当然じゃないですかっ」
「ねー、『専属家庭教師』って響きが色っぽくないですか?」
「ああ、確かに」
「お二人とも、真面目な話をしているんですがっ!」
僕ら真面目に考えてますが。
『専属家庭教師』いいじゃないですか。今度、リナリーにスーツを借りようかな。勿論、汚していいか許可とってから。
「聞いてるんですかっ!?」
「もう、ティモシーに夜の手解きはしましたか?」
「姉ちゃん!?」
「なっ……ななっ、何をっ!?」
まぁ、そうだよね。
じゃなきゃティモシーは僕がちょっと密着したぐらいで赤くなったりしない。
「モヤシ」
「はいはい、すみませーん」
神田が名前呼びの一言で注意してきた。あまり遊び過ぎるのも可哀想だって。優しいんだから。
「エミリア、心配いりませんよ。この先、僕が神田以外の人と添い遂げることはありませんから」
「子供の前でそんな不躾なことを言わないで下さいっ!!」
「お堅いですねー。そんなエミリアにアドバイスを差し上げます」
「ア、アドバイス?」
人差し指でくるくると円を描き、得意気な笑みを浮かべる。
やっぱり人をオモチャにするのは楽しい。神田がまた嗜める視線を寄越したけど、今度は気付かないフリをしてやり過ごした。
「ヤキモチより、僕らにゴマすっといたほうがいいですよ」
「え?」
「僕らはティモシーを養子にしますから♪」
「はぁっ!!?」
いい反応するなぁ。
だからこそ僕みたいなのに遊ばれちゃうんですよ。
「義父と義母になるから、そこんとこよろしくお願いしますね」
唖然としたエミリアはもう大声を張り上げる気力もないようで、ただただ深い溜息とともにその場でうなだれた。うーん、それでもやっぱり可愛い。
「遊びすぎ」
そんな声に合わせて、コツンと後頭部を叩かれた。頭上を振り仰ぐと、今日何度目かの呆れ顔とかち合う。
「もー、皆お堅いんだから」
「柔軟すぎも考えものだろ」
「そんなことないですよぉ。ねー、ティモシー?」
腕の中に納まっていたティモシーに問い掛けると、こちらも溜息交じりに言ってくれた。
「俺も姉ちゃんは自由すぎると思う」
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白百合中心に世界は回ります。
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