黒の教団編
かの芸術家
開始早々、探索部隊たちによって手足を厳重に縛られたラビはスタート地点から動けずにいた。
「はーなーせ――――っ!!離すさぁぁぁっ!!」
「いやですよ。ラビ殿は要注意人物なんですから」
一人の言葉に対し、周りがうんうん頷く。ムッと眉間に皺が寄ったトコロで無意味だ。仕方ないなと諦め、背後にいた人物に声を掛ける。
「ティエドール元帥は何で参加したんさ?」
黒縁眼鏡、蓄えられた口髭。綿飴のようなもじゃもじゃした髪の中年の男は、親友(とラビは信じてる)である神田の師匠である。
ティエドールは同じく縛られた躯でゆったりと振り返った。
「いやぁ……こうでもしないとユウ君が彼女を貸してくれないんだよ。私は絵のモデルになって欲しいだけなんだがねぇ………」
「あ――……ユウは独占欲が強いからなぁ」
「あの純白の髪と肌は素晴らしいね。瞳の銀も魅力的だ」
「うんうん、分かるさぁ」
「彼女の存在それ自体が、まさしく一つの芸術品だね」
動きと同じくらいゆったりとした声音でツラツラ述べるティエドールに、ラビはふと浮かんだ疑問を聞いた。
「まさかと思うけど………そのモデルはヌード?」
「…………………」
マジですか。
「………元帥、それはダメさ。ユウが許可しないのは当たり前さ」
呆れて息を吐くラビに、ティエドールはきょとんと首を捻った。顔には『何故?』と書いてある。
「ユウ君は繊細だからねぇ………私は美しいものを記したいだけなのに」
本気で言ってるなら、根っからの芸術馬鹿も考えものだな。
最早、言葉も出てこないラビは口の端を引き攣らせた。
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必要とあらばユウ君のヌードも……とか考えてるティエおじちゃん(笑)
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