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黒の教団編
ロートたま、大人レロ〜



自分に正直に生きるのって、良い事だと思う、ボクはね。



『○月×日(木)晴れ

今日も少年は可愛かった。南フランスでイノセンスによる奇怪現象。任務に向かった。
しかし、なんだ、少年の隣りにいたあの東洋人は。少年と腕を組んで(羨ましい)、少年と楽しそうに話して(心底羨ましい)………。
俺なんて近づけば害虫呼ばわりされ(快感)、触れようとすれば硝子の花瓶を顔面に投げ付けられ(透過失敗して鼻血)………。
あいつ、あの包丁使いめ、ちょっと美形だからって、ムカつくムカつくムカつく………』



一心不乱になってガリガリガリガリ、ペン先を押しつけてるティッキーはちょっと不気味だ。

お目当ての彼女にフラれっぱなしなのは可哀想かもって最初は思ってたけど、今じゃ彼女に同情しまくりだ。

なんたってボクはわりと彼女が気に入ってるから。
ストーカーと化してしまったティッキーを嫌うことはないけど、『家族』としては恥ずかしい。とゆーか、情けない。そして、彼女に申し訳ない。



「ティッキー、ねぇ、ティッキーってばぁ」

「あ?なんだよ、いま忙しいんだけど」

「んな、中学生日記を書くのが忙しいなら、ボクが飴舐めることのがよっぽど忙しいよぉ」



鼻で笑い飛ばすとティッキーってば怒りまかせにペン軸へし折っちゃったよ。

あれあれ、もしかしてぇ、地雷?



「いいか、ロード。これはなっ、少年の観察日記なんだよっ。すんげぇ、すんげぇ、すんげぇぇぇぇ、大事なことなんだよ。少年を付け回すことがどんだけ大変だかわかるかっ!?」


分からない、そして分かりたくないよ。
にも関わらずティッキー(彼女いうところの蛆虫変態野郎)は勝手にまくしたてる。



「尾行すりゃあ路地裏に誘い込まれてボコられ、堂々と行きゃあそれはそれでボコられ、望遠鏡で遠方から監視すりゃあなぜか落雷にあった。盗聴器を部屋中に仕掛けりゃことごとく割られ、本人に取りつけようとすりゃあ逆に頭カチ割られ、盗撮写真は全部ピンぼけか黒い靄がかかってる………愛の試練だとしてもツラいぜ」

「……………最後の何?」


ボクの聞き違いかな。
ティッキー、ストーカーの自覚あるん………だよね?


「バカ、何回も言わすなよ。これは少年が俺を試す、愛の試練なんだ」


唖然としたボクの手元から棒つき飴が滑り落ちた。
尚も語り続ける蛆虫。


「大体なぁ、あの東洋人のエクシストと少年が仲良く見せているのは少年が俺の男の価値を計っているに過ぎないんだよ。ああ、それでも妬いてしまうちっぽけな俺………っ。わかるか、ロード?この少年への愛に身が引き裂かれそうな俺の切なさ。勉学においては無知な俺だが、こっち方面は超一流だぜ?」

「………………」



バカはお前だ。



喉まで出かかった言葉を呑み込んで、ティッキーから一歩距離をとる。『ヒトゴロシ』のボクでもちょっと、流石に引きたくもなる。


一思いに殺しちゃうボクと、相手を自殺に追い込む勢いで後を尾け回すティッキー。どっちも異常だけど、あきらかに質悪い。自覚ないから尚更だ。



「アレン、可哀想………」

「そりゃな、俺と引き離されりゃ淋しいだろうな。ただでさえエクシストとノアは悲恋だし」



違うよ、ティッキー。そうじゃないよ。でも、もう、否定するのも疲れたよ。



自分に正直に生きるのって良い事だと思う。でも、これは考え直した方がいいかもしれない。




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