黒の教団編
確率問題のおはなし
「ねぇ、ラビ。馬車の車体って……重いですよね」
「んー?まぁ軽ーく1、2tはあるんじゃね?」
「ですよね。じゃあ、車輪(あわよくば車体)に巻き込まれた場合の生存確率ってどれくらいですかね」
「………………」
あ、ようやく顔あげたよこの眼帯。やっと意図を察したんだな、遅いから。
「がり勉め。極度な頭でっかちはモテませんよ」
「うっさいな、ほっとけ。で、生存確率?そんなの0だろ」
そんな分かり切った答えを求めちゃいないんですよ。ハンッと鼻で笑って一蹴。言い返してこないあたり、ラビの学習能力は高い。
「民間人なんて簡単に轢き潰されてアウトですよ、ア・ウ・ト。聞いてるのは蛆虫で試した場合」
「そら…100%で生存するだろ」
「泥酔させて意識混濁ののち、服を地面に杭で止めて、車輪に小型ナイフないしはガラス破片を取り付けて首を狙っても?」
「同じ形状の馬車が五台続きで的確に人体の急所を轢いたとしても、確率は100%さ」
「……言うようになりましたね」
「日々、鍛えられてるからな」
もうダメだろ、アイツ。心臓とか絶対、正常に作動してないよ。血液は毎度のこと赤いけど、赤色してたらなんだっていいんだよ、トマトジュースとかで代用できるんだよ、きっと。
「少しでも確率を上げるにはどうするべきですか?」
「…それはまた……難題さ」
「なんのための頭でっかちですか。キリキリ脳ミソ使って考えてくださいよ。これはキミのためでもあるんですよ」
「う、まぁ…そうだけど……」
狙われてる者同士、知恵を絞るのは当然でしょう。てゆーか、最優先で僕の身柄は保護されるべき。
「アレン……また、よからぬこと考えてるさ?」
「はいはい、気のせい、気のせい。ちゃっちゃか意見を出し合いましょーねー」
勘が鋭いと厄介だよ、全く。だから神田の方が百倍扱いやす………訂正、可愛いんだから。
それから、僕ら二人は医学書や毒物取扱などを読み漁りつつ完全犯罪の計画を綿密に練り上げた。
あとから談話室にやってきた各々の恋人たちが、その異様な空気に引くぐらいに。
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本当に嫌いでたまらないお二方。
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