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「シルフィア大丈夫だからね」



シルフィアの顔を覗き込んだシンクの顔は酷く心配そうでその瞳にはシルフィアと同じくらい不安の色が浮かんでいた。きっとシルフィアの不安そうな雰囲気が映ってしまったのだろう。


それとも自分が不安になりすぎてシンクの表情までもがそんな風に見えてしまうのかと少しだけ根性の無い自分に喝を入れる様に深く息を吸った。






あの日シンクが背中を押してくれたお陰でシルフィアは手術を受ける決意をした。そして直ぐにシンクと医師の元に行ってその意思を伝えた。シンクが書類に署名をして直ぐにシルフィアの手術の準備が始まって行った。



準備が終わるまでに心を落ち着かせようと思っていたが手術の準備が整うのは思ったよりも早くて手術当日シルフィアは自分の病室で煩いくらい鳴っている心臓と戦っていた。




自分の喉にもう一度切れ目を入れる。

思い出されるのは声を失ったあの日の恐怖。視界を埋め尽くす様な鮮血の赤。焼けて千切れてしまうんじゃないかと思う程の喉の痛み。そして声を出す事が出来なかったあの違和感。全てが蘇って恐怖心を煽る。




健康体だったシルフィアは自分の体にメスを入れ程の怪我も病気もした事が無い。失敗の可能性など無いと説明されていても初めての体験に緊張が高まって変に手先が冷たくて汗が滲んでくる。



もしこの手術を終えて痛みに耐えて、いざ声を出そうとした時に出なかったら。

不安になりすぎた所為でシルフィアに嫌な考えが過ぎる。そんな考えを振り払おうと首を動かした時に視界に入ったシンクの顔。その顔を見てシルフィアは少し強張った笑顔を見せた。






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