３
シルフィアが思考を巡らせながら悶々としていると病室の扉が控えめに叩かれた。その音に反応して二人が顔をあげると静かに開いた扉からシルフィア担当の医師が顔を出して小さく頭を下げた。
「シルフィアに用？」
「いえ、シンク様にお話が」
シルフィアの代わりに医師に問い掛けたがシンクに用があると言われてシンクは驚いて首を傾げながら読みかけの本を閉じた。場所を変えたいという医師の後を追う為に本を椅子の上に置いて病室を出ようとする。
扉に手を掛けたシンクが振り向いて口元に笑みを浮かべる。不思議そうな顔をしてシンクと意志を見ているシルフィアに声を掛けて病室を出て行く。
「すぐに戻るから」
一人になった病室でシルフィアは眉間に眉を寄せる。部屋が急に寂しくなった、など考えている場合では無かった。今までシンクだけを呼び出す事が無かった医師の行動にシルフィアは色々な事を考えていた。
もしかして綺麗に治っている傷が実は大変な事になっているのではないか。否、シンクは何か病を患わせてしまったのではないか。最悪の事態しか思い浮かばずシルフィアは考える事を止めた。
シンクが帰ってくるまでと思いながら暇を持て余したシルフィアはベッドに横になり目を閉じたがいつの間にか意識を手放してしまっていた。
白
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