桜蘭高校ホスト部
rainy season(環ハル 梅雨ネタ)
しとしと しとしと
止まない雨。
しとしと しとしと
「今年も梅雨に入りましたね」
少し鬱陶しそうにハルヒは言う。
「今週ずっと雨みたいだよ」
今朝メイドが言っていた事を思い出してそれを教えてやった。
「知ってますよ」
ハルヒは俺と目も合わさずに部室の窓から外を眺めたまま呟く。
そんなに鬱陶しいだろうか。
雨も、俺も。
どうしてそんな態度をとるのかとか何となくだけど分かってしまったりするから、いつもの様な冗談はきっと笑えないだろうか。
確かに、ハルヒにはこの時期はつらいだろうな。
ハルヒは雨が上から下へ落ちる様子をずっと眺めている。
こちらから表情は窺えない。
「ハルヒ?こっち向いて」
本心、焦っていた。
彼女が泣いているのかと思ったから。
そんなに弱い子ではないけど、やっぱり女の子だから。
そんな事、本人に言うときっとまた喧嘩になるだろうから言わないけど。
「…環先輩を見てると暑苦しいんですよ」
「ハルヒー(泣)」
ああ本当にすごい事言うなぁこの子は。
この子なりの強がりだとは思うけど、意地っ張りにも程がある。
でもどうしてかそんな反抗期な彼女が可愛いと思えてしたかないから、やっぱり俺は親バカなんだろうか。
意地っ張り。
本当に可愛いんだから。
「…雷雨にはならないよ」
そう言うとハルヒは少しだけ反応する。俺の思ってる事は間違ってないらしい。
「晴れる事はないけど、小雨がずっと続くらしいから。雷は鳴らないんだ」
ハルヒの視線は外に向けられたままで、態度に変化はなくても、少し安心したのか安堵の息を溢した。
「そうですか」
一行にこちらを向く気配を見せない彼女の横顔が、僅かに綻んでいた。
反抗期の娘を持つ父親って楽じゃないな。
これじゃ心臓がいくつあってももたないじゃないか。
しとしと しとしと
雨はやっぱり鬱陶しいけど、今日はそんな君に感謝するよ。
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