機械娘は気持ちを探す
#7
イスラエル軍で採用されている武器のなかに、M24A2という狙撃銃がある。
M24A2はレミントン・アームズ製のボルトアクション狙撃銃だ。イスラエル以外にもアメリカ陸軍など世界中の軍や警察で採用されている。元はスポーツ射撃用M700ライフルで、古くからある狙撃銃だが、M24A2は材質などの変更と20mmピカティニー規格のレールを装備するなど近代化が施されている。使用弾は7.62mm NATO弾たまは300 Win Mag。
リージュが出てきた穀物倉庫跡の二階。小さくくり抜かれた壁からバレルを突き出して、ミハイルは三脚を装備したM24を構えていた。
三脚は、大抵ハンドガードに装着する二脚とは違い、銃の中心近くに取り付けるというよりは、銃本体を上にのせるような形になる。これにより移動は出来なくなるが、照準は非常に安定する。
「しかし、ホントに避けてやがる」
ミハイルの発言は悪態とも関心とも取れる。
「ま、精々避けて相手の気を引いてくれよ」
そう、リージュは囮なのだ。専門のスキルがないミハイルはどうしても照準を合わせるのが遅い。真っ向から撃ちあったら間違いなく先に撃たれる。
ハンドガードを握り直してからフゥーと深呼吸をし、ミハイルは先ほどの会話を思い出す。
『あの男についてアタシが知っているのはこのくらいだよ』
『そうですか……情報提供感謝します』
『いやいや、礼を言われることはしてないよ。アンタ達からの支援物資は届いている。ビジネスと何ら変わりな……なにかあった?』
『……今通信が入りました。ここから北へ600mほどどの砂丘に敵と思しきスナイパーが待機していると』
『なんで教えてくれるのかな? お嬢ちゃん』
『貴女に協力してもらいたいからです』
『はて、なんだろうね』
『私達が送った物資の中にM24がありましたよね……』
狙いは、リージュを撃ちまくっている赤髪のスナイパーに合わせている。だが、
「囮は成功。だけど……アタシが当てないと本末転倒だよね」
彼女の覗くスコープの倍率は十分と言えない。500mほどまでしか対応していないのだ。
「当たってくれよ……」
ミハイルは引き金を引いた。
放たれた300 Win Magは、赤髪の少女に着弾した。
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