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機械娘は気持ちを探す
#7
 そこから先はよく覚えていない。しかしどうやら幼女に引っ張り回されてれていたようだ。
 現に場所が、校舎が見る影もないただっ広い芝生の広場に変わっているし、ブカブカパジャマは裾が少々汚れてる。足が痛くないから、引っ張られている間、体は浮きっぱなしだったのだろう。
 そして今、幼女は何故かアイシアの隣でにウィンチェスターM1887に12ゲージのショットシェルを詰め込んでいる。
 ウィンチェスターM1887は、その名の通り、1887年に登場したウィンチェスター社製のレバーアクション式散弾銃だ。散弾銃といえば水平二連式が当たり前だった時代、当時としてはオーソドックスなレバーアクションの採用と、倍以上の装弾数とあって、発表当時は多くの注目を浴びた。しかし、現在はポンプアクションが主流になり、セミオートでさえ信頼性が上がってきているため、完全に旧式化しており、また口径は同じでも、現代の弾薬を使用した場合、強度に不安があるとも言われる。装填数は5。「ん」
 グイッと最後の弾を詰め込んだM1887をグイッとアイシアに押しつけるように渡す。
「え? これどどうしろと」
「あれを撃つのよな!」
 幼女がビシッと指差す50mくらい先には的がある。あの的を撃つなんて造作もないが、
「いいのかよ」
「なにが?」
「アタシは一応捕虜なんだぞ? それなのにいきなり連れ出したり、銃持たせたり……」
「なにを言っているのよな、ツヴァイ達は捕虜だなんて思ってないよな」
「……なら、アタシはなんだ!?」
 アイシアは、渡されたM1887を幼女に向ける。申し訳程度のアイアンサイトの向こうでは、変わらず幼女が無邪気な顔をしている。
「なにって、仲間に決まってるのよな!」
「んなっ!?」
「お姉ちゃんは言ってたのよな。アイシアちゃんは守るべき仲間だって。お姉ちゃんの仲間はツヴァイの友達なのよな!」「なんだよ、それ。まだなにも知らない奴を仲間とか友達って呼ぶのかよ」
 コクリと幼女が頷く。
「ツヴァイはツヴァイなのよな!」
 両手を挙げて笑う幼女から銃口を斜め下へ外す。
「はは、アンタらには負けたよ。アタシはアイシアだ。よろしく」
 そして、M1887を的に向けて構える。ループレバーがデカすぎてパジャマと同じようにブカブカだが、気にせずトリガー。
 跳ね上がる銃身、同時に砕ける的。即座に銃を内側に傾け、ループレバーを曲げて次弾をロードする。 それをツヴァイに渡そうとした瞬間、
「私のコレクションを勝手に持ち出すな!」
 やけに平坦な叫びと共に後頭部に多大な衝撃が走った。

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