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機械娘は気持ちを探す
#5
 なにやら外が騒がしい。アイシアは怪訝な顔で壁を凝視する。当たり前だが壁しか見えない。
「能力制限ってこういうことね」
 視線をアインスの開け放った窓に向けると、日光と共に外から喧噪が聞こえてくる。
 次に正面に目をやる。壁掛け時計の針は丁度1時17分から18分に変わったところだ。
 ベッドから降りて、窓際に向かう。ここで初めて、着ているピンクのパジャマがブカブカだと気がついた。裾は長すぎ、袖も長すぎ。
 フローリングの床は冷たかったが、日向は逆に一瞬だけ熱いような妙な感覚だ。
 木から顔を出すリスみたいに外を見る。大勢の少年少女が同じような服装で歩いている。
 五人組の少年グループがアイシアの赤髪に気がついたように小さく指を指していた。「なに、ここ……」
 無数の少年少女は慌ただしくも楽しそうに右へ流れて行く。
「ここは学校やね」
 いきなり背後から声が掛かる。アイシアは3センチくら直立のまま飛び上がってしまった。
「私立南部工業技術中等教育学校」
 アイシアが振り返ると、目の細い白髪の少年がいた。
「しりつな、なん……何?」
 彼はアイシアを気にせず話しを続ける。
「ここはな、欠番達が欠番達っちゅーゆえん。ボクら機人の大切な日常であり、守るべき最後の砦や」
「え、ちょ」
「そして、あんさんも今日からここに住むんよ」
 アイシアが聴いた彼の声はなまっていた。

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あきゅろす。
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