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機械娘は気持ちを探す
#4
「感情爆発……か」
 アインスが扉を閉めると同時に男の声が掛かる。壁に寄りかかる声の主は少年。
「盗み聞きとは、いい趣味ね」
「くはっ、せやろ?」
 14、5歳くらいに見える白髪の少年はその細い目で壁越しにアイシアへ視線を向ける。
「あの娘、どないすんの?」
「……しばらくここに居てもらうわ。まずはそれからよ」
「なんや、やりきれん顔してんな」
「当たり前じゃない。誰だろうと、もう感情爆発だけはさせないって……」
 アインスは壁を殴りつける。右手首がめり込んだ。
「せやかてな、全部管理するなんて無理やろ? あんさんが責任感じることないて、いつもゆーとるやろ」
 感情を表にした少年はアインスの背中に言葉をぶつける。
「……責任は私にあるわ」「一番目(アインス)やからか?」
「そうね、そう。私さえ完成しなければあなた達は普通に生きていられた」
 少年はぐっと拳を握る。
「だから、彼女の感情を削ったのは私のせきに」「感謝しとる! ボクァ感謝しとる!! 不治の病やったわいを……医者にこのままやとしぬ言われたボクを。けどどうや、ボクァ生きとる。生きとるんや! こんな体になったけど、あんさんのおかげで生きとるんや」
 言葉を遮った少年はアインスの肩をひっ掴んで溜まっていた感情をぶちまける。
「せやから、自分が悪いなんて言うなや。ボクだけやない。リージュかて、きっと感謝しとるよ」
 細い目を見開いて少年は言う。
「なに泣いとるよ?」
「泣いて、ないわ。泣いてなんてない。ただ……嬉しいわ」

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