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機械娘は気持ちを探す
#3
 何故かお姫様抱っこでベッドに戻された赤髪はなにも話さない。ただ、珍しい物を見るような目でアインスを見ている。
「落ち着いた?」
  コクリ、と赤髪。アイシアは両手を合わせてニコニコ。
「えっと、まずは体大丈夫? 頭とか肩、撃たれた所痛かったりしないかな? 肩は被殻破られてたし」
 自分の頭と肩をトントン差しながらアインスはにこやかに話しかける。
 今更気がついたのか、肩の傷がないことを確認した赤髪。それからひたいに触れる。
「頭、撃たれたっけ……」
「覚えてないのかな? ここに運ばれてきた時は思いっきりヘッドショットの衝撃で昏倒してたけど」
「ん」
「そう……あ、まだ名前を聞いてなかったわね」
 一瞬、悲しげな表情を見せたアインスだが、またすぐに微笑む。
「あなたの名前、教えてくれるかな?」
「あ……アイシア」「アイシアちゃんか。うん、いい名前ね。誰かにつけてもらったのかな?」
「……アイツ」
「……あの青年?」
 コクリ。さすがのアインスもニコニコがとまる。
「彼はキチンと弔ったわ」
「そう。あんがとな」
「……一つ聞いてもいいかな? 今でもあの青年に対する感情はある?」
 アインスは疑問をぶつけてみる。
「……」
「ないのね……」
「なんでかな……。アイツとの思い出はあるのに、感情が付きまとわない……キスした記憶も、あの時ドキドキしてたことも覚えてるのに、なんでドキドキしたのかわらねぇんだ」 顔に手をあてているアイシアにアインスは掛ける言葉を探した。
「ごめんなさい……あなたから彼への想いを奪ったのは欠番達よ」
「いいんだ。もう怒れもしねぇから」
 顔を上げたアイシアは苦しそうに笑っていた
 アインスは、唇を噛み締めていた。現状がやるせない。そんな表情だ。
「そんな顔しないでくれ、アンタは悪い奴じゃなさそうだ。怪我も直してくれたしさ」
アインスはうつむき、なにかを我慢しているのが見て取れた。
「顔を上げてくれよ。確かに、アイツをころしたのはアンタ達だけど、恨むほどの感情なんて残ってねぇんだ」
「そう……。ごめんなさい、ちょっと外すわ」
 アインスは立ち上がり、扉へ向かう。
「あ、ちょ」
「アイシアちゃん。この部屋は好きに使っていいから」
 振り向きざまに言い残して部屋から出て行った。

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