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小説
4



4月、俺は私立聖徳学院の正門の前で立ち止まっていた


門の脇には入学式会場という大きな看板が立てかけてある。



肌寒い春風に桜が舞って俺の肩にひらりと落ちた




なんで、学校ってこんなに朝早いんだろ



いつもなら寝ている時間に起こされた俺は少し不機嫌になりながら、入学式の会場への道を淡々と歩いた。



入学式って、寝れるもんなのかな....



ぼんやりと頭の隅でそんなことを考えていると、いつの間にか講堂へ着き、入学式会場と書いてあるのを見、建物の中へと入った。







もう、ほとんどが席に着いているようだった





まだ、5分前なのに




俺が指定された席へ座ると、同時にアナウンスが耳を包んだ。



『これより第三十二回、私立聖徳学院入学式を開式します』





男子校だとは聞いていたが、見事に男だらけだ。




教師も、女性はほとんどいなかった。




まぁ、当たり前なのだが。




開始2分で眠気に襲われた俺は、ゆっくりと目を伏せていった。



こんな話を2時間も聞く理由が分からない



よく、他の奴らは真剣に聞けるなぁ





うつらうつらと、だんだん視界が狭くなって、あ、落ちるーーーと思ったとき、




『祝辞。今期生徒会長、蓮見 響(はすみ きょう)』



たしか、蓮見響って蓮見財閥の子息じゃなかったか?父さんの会社も支援されていてとても世話になってるって聞いたことが...



俺は聞き覚えのある苗字に伏せた目を急いで戻した。





一瞬、目を奪われた。



漆黒の瞳に吸いこまれそうになった。




俺の瞳に映ったのは、作り物のように美しい顔立ちの、蓮見響という人物。




....とても綺麗な人





目を奪われたのは俺だけではないようで、他の新入生もほんのり顔を赤くさせていた。



自分もこんな顔をしていたのだろうかと思うと、少し恥ずかしい気がした。


ギュッと目をつむって、それをまぎらわす。


祝辞が終わり、蓮見響が一礼をするとステージの幕の影へと消えていった。



それを確認した司会が、一息吸って、



『答辞。新入生代表、久我 雅(くが みやび)』






....俺と、同姓同名か....久我雅、なんて名前、俺以外にもいたんだな。





でも、だれも前へ行こうとしない。






....え、











....俺....?














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