4 入学式受付、と表示している机に座っている、俺からみたら先輩だと思われる係りの生徒に 「こんにちは、朝からお疲れ様」 と、にいちゃんが声を掛けた。 …にいちゃん2年生だろ?3年生だったら先輩じゃん。そんな上から目線的でいいの?ヒヤヒヤする! 今まで、座って新入生や保護者に案内していたのに、にいちゃんの姿を見て ガタガタガタッと立ち上がり90度のお辞儀をして 「加賀様!おはようこざいます!!」 なんて、大きな声で挨拶するものだから、 “どうしたの?何々?” って、注目度アップ!目立つのイヤなんだけど! って言うか、“加賀様”って? 結構衝撃を受けた俺は、目線で、“どういう事?”ってにいちゃんに聞いているのに、すっかりスルーされ先輩とにいちゃんの会話が続く。 「この子新入生の加賀美桜って言うんだけど、何組かな?」 「加賀美桜君ですね?…E組です!あの…失礼ですが、ご親戚でいらっしゃいますか?」 にいちゃんと俺を交互に見ながら控え目に聞いてきた。 まぁ、似てないから兄弟にはみられないのは何時もの事で、同じ名字から“親戚”に思ったんだろう。 「美桜は、俺の弟なの!よろしくね?」 にいちゃんはまたもやイケメンスマイルで、係りの先輩に微笑むと、係りの先輩は赤くなっている!すごい!イケメンパワー! 繋いだままの俺の手を引いて 「E組だって!」 って、歩き始めた。多分教室に向かっている。んだよね? えーっ?まさか教室まで一緒なの?周囲を見渡すと、保護者は体育館へ行くみたいだよ? 確かに、にいちゃんは在校生だからほかの保護者と一緒じゃなくてもいいのだろうけど。 クラスメイトに入学早々何言われるか!考えただけで帰りたい! 「にいちゃん!教室には一人で行けるよ?みんな一人だし。大丈夫だから。ね?」 繋いだままの手を引っ張り歩みを止める事には成功した! 必死さが伝わったのか、繋いだままと逆の手を軽く顎に添えてちょっと考えている。 「んー。わかった。じゃあ、教室の入口までね?」 いやいやいや!中まで一緒に来るつもりだったのですか?じゃなくてッ!ちっともわかっていないにいちゃんに、口をパクパクするだけの俺に向かって 「みーちゃん、金魚みたいー!」 だって!にいちゃんのバカッ! [*前へ][次へ#] [戻る] |