生きていたうさぎ
うさぎだけどねずみ色 な ふわふわ毛皮
真っ黒の くりくりした目は
ぼくを 信じるように 見る
ところが 耳は 疑う動き
三角 鼻が ドクドクしてる
前後の脚は 忙しない
まるい体は 耐えるよう
わかっているんだ この
ちっちゃいかわいい生き物は
思ってみると ぼくは見た
ずらずら並ぶ蟻を見た
芋虫を抱く蜂を見た
道路ですくむ犬を見た
目脂だらけの猫を見た
静かに立ってる楡木を見た
巣から落ちた雛を見た
悲しい背中の牛を見た
生簀の中の鯛を見た
どうしてうさぎは知ってるの
何に教えてもらったの
だれも教えてくれないよ
ひとは頭がいいんだよ
前にだれかが言ってたよ
ぼくは知らない ぼくの行方を
ぼくが来た道を知らないように
考えることもはばからせるから
うさぎはとうとい
ぼくたちは
2013.10.7
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