3 「…でも、おかしいわ」 アリスはそこに矛盾があることに気が付いた。 「自然は話ができないわ」 アリスはここぞとばかりに自分の持っている知識を披露する。 「いいやアリス、この世に電話ができないものなんてないんだよ」 しかし電話屋は諭すようにアリスに語りかける。 「水だって、木だって、花だって、電話くらいできる」 しかしアリスは納得のいかない様子で食い下がる。 「嘘よ。口がなくて言葉を使えないんだから、話せるわけがないわ」 その言葉を聞いて、電話屋は椅子の上に立ちアリスを見下ろす。 アリスは鏡屋のこともあって、少し警戒しながら電話屋の言葉を待つ。 「アリスは自然たちの会話を聞いたことがないんだね。彼らはいつも囁き合って、歌だって歌っているのに」 アリスの警戒を余所に、電話屋は悲しい表情を浮かべながらアリスに訴える。 「歌…?」 「そう、彼らの歌声はとても綺麗だ。特に星の声は澄み切って───」 「星が歌うの!?」 [*前へ][次へ#] |