2 「やぁアリス!ご機嫌いかがかな?」 電話屋は大きな椅子に座ったままその小さい身体を目一杯動かして歓迎の意を示す。 しかしアリスからはその顔、つまり首から上しか見えないのだ。 「ふふ…」 アリスにとって上下に動く首が少し可笑しかったのか、挨拶の返事代わりに微笑みを返した。 猫は机の上にちょこんと座ったまま動こうとしない。 アリスは不思議に思ったことを素直に電話屋に聞く。 「どうして音が鳴り止んだの?」 アリスの疑問に電話屋は答える。 「それは僕が電話屋だからさ」 「……………」 それはどういうことなのか、時間をかけて考えてもやはりアリスには分からなかった。 「じゃあ、電話って何?」 そう、アリスは電話というものを初めて見たのだ。アリスの暮らしの中には電話という発達した機器など存在しないのだから、それは当然なことである。 「電話というのは"繋がり"だよ」 「"繋がり"…?」 「うん。人から人へ、動物から動物へ、自然から自然へと繋がって話ができるんだ」 「話が…!?」 アリスは感動した。自分の知らないところでは、そんなことができるようになっているなんて思いもしなかった。 [*前へ][次へ#] |