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───ジリリリリリ!!!!!
「きゃっ…」
突然の耳を突き刺す大音量にアリスは素早く耳を塞いだ。
その横で猫は平然として、電話がバラバラに配置されている机に飛び乗った。
部屋は一見社長室のようで、様々な形の電話があり、机に乗り切らなかったのだろう電話が床にも敷き詰められている。
「……おい」
猫は机の向こう側に声をかけた。そこには大きな椅子に座る小さな男がいた。
しかし男は数多くの鳴り響く電話を次々と取り次いでいて気付かない。
猫はもっと大きな声で叫ぶように言った。
「…電話屋!!」
どうやらここは電話屋らしい。
その声で猫とアリスの存在に気付いた電話屋は、瞬時に目を輝かせた。そして机上の片隅に置いてあったハンドベルを思い切り鳴らした。
すると、今まで地鳴りのように響いていた音がピタリと止まったのである。
静けさを取り戻した部屋に気付き、アリスは塞いでいた耳から手を離す。
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