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スターウォーズ氷帝伝IF インフィニット・ストラトス編
クラス代表決定戦・・・の直前
「・・・おー、お前ら」

「おはよっス先輩・・・随分眠そうッスね?」

「お、本当だな。どうしたんだ?」

「セシリアと夜遅くまでALOやっててな。あんまし寝てねぇんだわ」

「ALO!?買ったのかアーヴン!?」

「おう。まだド素人だがな。セシリアの奴ALO内だと普通に男と接してんだよな。女尊男卑的なのはリアル(現実世界の事)だけみてぇだ」

「そうなのか?何でだ?」

「さあな・・・まあ無理に知りたいとも思わねぇがな。そいつぁ紳士的じゃねぇ」

翌日。

アーヴンとアーサー、一夏の三人は朝食を摂っていた。

が、アーヴンの様子がおかしい。

何故かやたらと眠そうなのだ。

話によれば、深夜までALOをプレイしていたらしくあまり寝ていないのだそうだ。

それに一夏がかなり食いついた。

一夏とてまだ子供、やはりALOに強い興味が有るのだろう。

アーヴンは続けてこんな事も言い出した。

どうやらセシリア、男性に対しての悪感情はALO内では全く無いらしいのだ(アーヴン相手だと現実世界・ALO普通だが、それはファーストコンタクト時の衝撃が凄過ぎてそういう感情が吹っ飛んだからである)。

結構大きな疑問なのだが、アーヴンは詮索する気は無いと言った。

「ほう、ALOですか。貴方がゲームをするのは珍しいですね」

「気まぐれだよ・・・って、どこから湧いたテメェ?」

「母様の遺伝子を舐めないでほしいですね。気配を消して忍び寄るなど容易い事です」

「そーかい・・・で、何の用だ?」

「席が空いている様なので、座ってもいいですか?友人も居るのですが」

「いいぞ。お前らは?」

「俺もいいぞ」

「俺もッス」

「そうですか。皆さん、こっちにいらっしゃい」

「は−い!」

「お、お邪魔します・・・」

「噂の男の子達と一緒にご飯を食べれるなんて!」

そこに、突然レイラが現れ、声を掛けてきた(実際は気配を消して近寄っていただけ)。

どうやら一緒に座っていいかと聞きに来たらしく、アーヴン逹が許可するとレイラは三人の女子を連れてきた。

名前は布仏本音、谷本療子、相川清香と言うらしい。

「さて、先程の続きですが・・・ALOをやっているようですね?殆どゲームをやらない貴方がどういう風の吹き回しでやっているんですか?」

「お〜、アーヴくんもALOやってるんだ!私もなんだ〜」

「あ、私も!」

「私もやってるよ!」

「流石は人気ゲーム・・・この分だと、かなりの数の学園生徒、下手をすれば教師もやっていそうですね。勿論私もやっています」

「お前ゲーム好きだもんな・・・ん?アーヴくん?」

「渾名だよ〜。嫌だった?」

「いんや。渾名なんざ初めてだったから驚いただけだありがとよ本音」

「ふぇ?」

「日本人の名字は言いにくくて仕方ねぇ。そんなわけで、名前で言わせて貰うぜ」

「いいよ〜。私もその方が嬉しいから〜」

「本音だけずるい!私も下の名前で呼んで!」

「私も!」

「言わんでもそうするよ・・・なあ、コイツ等にも渾名有んのか?」

「うん。いっちーとアーピーだよ〜」

「いっちーか・・・」

「アーピー・・・ヘタレよりずっとマシッスね」

「私はレイレイだそうです・・・それにしても、貴方がALOをやっていると知ったら母様も驚くでしょうね。今もやっているでしょうし」

「は?やってんのアイツ?」

「トッププレイヤーの一人ですよ?」

「レイレイのお母さんもALOプレイしてるの〜?」

「トッププレイヤーって言ったけど何て名前なの?」

「見た目どんな感じ?」

「そう慌てずに。お披露目はクラス代表決定戦の後という事で」

「「「えー?」」」

「さて、話はここまでですね。話の続きはまた今度にしましょう」

同席した面々は雑談する。

半数以上がALOをプレイしていたり、渾名を付けられていたり、チルノかALOのトッププレイヤーとして君臨していたりなど色々な情報が飛び交った。

それから数日経ち・・・

「・・・来ないな、俺の専用機」

「そうッスねぇ・・・」

「・・・そうだな(またやらかしたか、私は?)」

クラス代表決定戦当日。

学園の生徒達の殆どがアリーナに集まり、クラス代表候補も皆ピットに入っている(男女別のピットに入っている)。

だが・・・問題が発生しており、試合を始められないでいた。

問題・・・それは、一夏が搭乗する筈のISがまだ到着していない事である。

一夏は貴重な男性操縦者である為、日本政府から専用機と呼ばれる特殊なISが用意される事になっている。

が、まだ来ない。

到着予定時間を当に過ぎているのにも関わらずにもだ。

一夏とアーサーがポツリと呟いたのを尻目に、普段通りに振る舞う千冬だが、その実また何かやらかしたかと冷や汗かきまくりである。

「セシリアもうピットから出てるぞ・・・なあ、俺が先で良いか?女待たせるとかしたくねぇし」

「・・・そうだな、その方が時間が無駄にならんな。一応聞くが、オルコットの専用機について調べたか?」

「とっくにな。驚いたぜ、実力で言やテメェとタメなんじゃねぇか?」

「公開されているのは、1年前の映像だ・・・それからこれは眉唾物の噂なのだが、学園に来るまでの間に実戦も体験済みらしい。正直どれ程の実力が有るか解らんぞ」

「・・・アラスカ条約ってのが有った筈だろ?ソイツはどうした?」

「あんな物、建前の様なものだ・・・実際はどの国も守っていないさ。それに、2年前に軍が来て以降更に酷くなった」

「反IS国家がMTやらACを借りて親IS国家と戦ってるからな・・・」

一夏の訓練に付き合う最中、アーヴンはしばしばセシリアについて調べていた。

セシリア・オルコット・・・別名蒼き姫君、或いは硝煙纏う死天使(ガンメタルデスエンジェル)。

その名はIS使用時に常に崩さない余裕に満ち溢れた笑顔と容赦の無い徹底的な戦い方に由来する(後者の異名の由来は不明)。

実力は、公表されている中では恐らく世界最強と目されるが、代表候補生となる前に二年以上原因不明の病で意識不明になっていたらしい。

専用機は全距離対応型IS『ブルーティアーズ』で、BT兵器と呼ばれる装備が自慢らしいが・・・最近の戦闘映像は開示されていない為信頼出来ない。

とは言え調べ終えたアーヴンは幾つか対策を立て、戦う準備は整っていた。


「ともかくだ、行ってくらぁ」

「行ってらっしゃいッス先輩!」

「勝ってこいよ!」

「おう」

一夏とアーサーに応援を聞きながらアーヴンはピットを出ていき、セシリアの前に立つ。

「悪いな・・・一夏の専用機がまだ来てねぇ。代わりに俺と遊んでくれよ」

「そうですの。別に構いませんわ」

「・・・(いい笑顔だなオイ・・・・惚れるぜ。しかし、映像で見たのと大分見た目違うぞ?)」

アーヴンと相対したセシリアは、見惚れる殆ど美しい笑顔を見せる。

セシリアのISブルーティアーズは、戦闘映像に映された姿から遠くかけ離れていた。

本来は手足などを装甲が覆い、不測の事態が発生した時に危険であろう胴体が剥き出しという姿だった。

しかし今はかなり丈が短い青色のドレス(ドレスの上に胸当てが装備されていて、更にその上に赤色のガウンを羽織っている)を着ており、両手には複数の宝石の埋め込まれたガントレット、足から太ももの中間辺りまでは鋼鉄製のロングブーツを身に付けている。

そして、セシリアの周りを翼のように覆う巨大な王冠型ユニット(前の部分が開いている)の存在と合わせると、気品と圧倒的な威圧感が有る。


アーヴンはその笑顔と想定と全く違う姿に警戒し、表情を険しくする。

「ウフフ・・・驚かれていますわね。対策を立てられたようですが、こうも見た目が違うと無意味ですわ」

「何だよそのデケェ王冠は?明らかにヤバそうじゃねぇか」

「ティアーズは映像を取った時の様な第一形態ではありません。第三形態に進化を果たしたのですわ。それ故、名前も変わりましたの・・・今の名はブルーティアーズ・レディと言います」

「・・・大したもんだ。一年でそこまでやれるんだ、もっと時間を掛けりゃ更に進化するかもな」

「お喋りはこのへんで良いでしょう・・・ISを展開してください。始めましょう」

「いいぜ・・・っと、その前に言っとかなきゃな。俺はISスーツを着ない。ISがスーツ代わりになるんでな。それじゃ行くぜ・・・バルバトス!」

セシリアは積み重ねの末、現在確認されている中で最も進化した姿に形態移行したと伝えた。

形態移行・・・それは、戦闘経験や稼働時間の積み重ねによりISの姿が変わっていくという物で、現時点では第三形態まで確認されている。

セシリアはその第三形態に形態移行したのだ。

本来第三形態まで移行するには凄まじい時間と苦労が掛かる。

それをセシリアはたった一年の間にやり遂げた。

努力だけではここまで早く形態移行は出来ないだろう。

アーヴンは素直に賞賛しつつ、自分のIS 『バルバトス』を展開する。

「大きいですわね・・・しかも全身装甲(フルスキン)?珍しいですわ」

『ISのシールドバリアーや絶対防御はあまりあてにならないってのが製作者の考えでな。俺のバルバトスとアーサーのスターダストには全身装甲が採用されてる。材質はACと同じ・・・硬いぜ?』

「でしょうね。それにしても、真紅の装甲が鏡や宝石の様に輝いて綺麗ですわ」

『まだおニューなんでな。さぁて・・・やろうか』

「フフ・・・楽しくなりそうですわ」

展開されたバルバトスは、見上げる程に巨大な真紅の巨人であった。

しかも全身装甲というおまけ付きである。

作ったチルノはシールドバリアーや絶対防御をあまり信用していなかった。

そもそも本人は機動兵器にバリアだの何だのを付けるのが大嫌いなのだ(機動兵器は、小細工無しの装甲や火力、運動性で勝負してこそだと考えている。その証拠に、チルノ作の機動兵器はバリア系の装備は一切装備していない)。

それ故、アーヴンとアーサーのISのシールドバリアーと絶対防御は最低限に抑えられ、代わりに極めて頑強な装甲を装備されていた。

ISを展開した双方は構え、試合が開始された。

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あきゅろす。
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