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東方僧侶録
救世神対禍津日神
「ぐっ・・・」

ここは・・・どこだ?

確か私は、氷漬けになって・・・

だが、こうして身体が自由に動くという事は、低気圧は去った様だな。

「随分静かになったものだ・・・」

人間が居ないのは当たり前だが、妖怪の気配も同様に消えている。

妖怪は、人間が居なければ存在出来ない様だ。

・・・人がもう一度現れるまで、かなり時間が有るな。

更に肉体に磨きをかけるのも良いだろう・・・



20万年後・・・

空を飛べる様になった。

これでこれで好きな場所に行けるな。

他には・・・新しい技を習得した。

いずれお見せしよう。


50万年後・・・

ようやく人が現れた。

進化の速度が著しく速い。

と言っても、まだ石器時代の様だが。

後、私の中に今まで感じた事のない力を感じた。

身体に害は無い様なので、放っておいているが・・・何なのだろうか?



40万年後・・・

どうやら弥生時代に入った様だ。

人間が集団で生活を始めている。

他には・・・神が生まれた様だ。

至る所に、今まで感じた事がない力が生まれたのを感じた。

恐らくこれが神力だろう。

・・・はて?神力と、私の中に突然現れた力が似ている様な?

・・・まさかな。

それとは別に、近くの村から禍々しい気配がする。

神力の中に混じって感じる異常な悪意・・・

そんなものを撒き散らす神は、この時代において数える程しか居るまい。

取り敢えず、近くに出来た村に行って見るとしようか。



「やはりか・・・」

村に入った瞬間、禍々しい気配が強くなった。

やはり居る様だ。

そして村人達の様子だが・・・目に生気が無く、正気であるかも分からなかった。

恐らく、村に居座る存在のせいで、こうなってしまったのだろうな。

因みに、今私は気配を消して行動している。

見慣れぬ者が現れれば、警戒するだろうからな。

そして村の奥に行くと、立派な木造建築を発見した。

どうやらここに元凶が居るようだ。

一般人がここに近づけば、発狂死するだろうと思われる程に、それは強くなっていた。

さあ・・・対面と行こうではないか。


この建物は一階建てで部屋は一つしかないがとても広く、奥のほうに立派な装飾が施されている場所がある。

そして其処に鎮座・・・いや、浮かび上がっている巨大などす黒い球体が、この村に居座っている神だろう。

『・・・何者だ』

「!」

気配を絶っている筈なのに気付かれただと?

・・・流石だな。

「お前は禍津日神だな?」

『!!』

「やはりか・・・相手が邪神ならば遠慮は要らんな。・・・禍津日神よ、悪いがこの世界から消えてもらおうか」

人を蝕む黒い感情は、必要無いのだ。

特にお前の様な、常に災厄を撒き散らす者はな。

『ふん、人間風情が・・・調子に乗るなよ!!』

バババババ!!

その言葉と共に黒い弾幕が放たれる。

「避けやすい弾幕だな」

数が多ければ良いという訳ではない。

逆に避けられれば、大きな隙を作る事になるからな。

そう・・・この様に!!

『一重の極み!』

ゴシャッ!!


一重の極み・・・

単に拳を叩き込むだけだが、全ての力を込めると同時に法力で拳を強化しているので、当たりどころによっては二重の極みを凌駕する威力を持つ。


『ウギャアアアア!?』

一重の極みを叩き込まれた禍津日神は、悲鳴を上げ身体(?)を震わせる。

「やはり妖怪の様にはいかんか・・・」

『おのれ・・・おのれおのれおのれオノレオノレオノレェ!!!』

キュイイィ・・・

怒り狂った禍津日神は、一点にエネルギーを集め始める。

恐らく砲撃が来るのだろう。

『シネエエエ!!!』

そして予想通り、禍津日神は砲撃を放ってくる。

ならば・・・

『天楼黒屏風』

バチィ!!


天楼黒屏風・・・

私が数十万年の修行の末に習得した防御術で、あらゆる攻撃を防ぐ事が出来る。

それが例え神の攻撃だとしても。

『馬鹿な!無傷だと!?・・・き、貴様、何者だ!?』

「只の死に損ないだ」

『ふざけおって・・・はっ!?』

何だ?急に身体(?)を震わせ始めたぞ?

『ま、まさか・・・貴様は救世神!?』

「救世神・・・だと?」

『その昔、人間達を救う為にたった一人で無数の妖怪を屠り、低気圧を止めたという・・・』

随分と誇張されているな・・・

『そして救った人間達に神と崇められ、人の身で神となった原初の神にして、異端の神・・・なぜ貴様が此処に居る!?』

随分と恐れられているな。

・・・よし、利用させてもらうとしよう。

「この村を開放しろ。さもなくば・・・」

『ま、待て!私は貴様と争うつもりは無い!』

「ならば・・・」

『この村はくれてやる!!』

スウ・・・

禍津日神はそう吐き捨てると姿を消した。

村に蔓延していた悪意が消えた所を見ると、どうやら村から立ち去った様だ。


後に正気を取り戻した村人達が、私が禍津日神を村から追いやったと知ると、村人達はとても喜び今度は私を崇める様になった。

それに伴い神力も増えた・・・使いこなせる様に、更に鍛錬を積まねばな。

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