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フェイトステイナイト〜verアイス
前準備(色々)
チルノがアーチャーとの話を終えると、セイバーが「士郎が目覚めた」と伝えに来た。

それを聞いたチルノ達は衛宮邸に入り、士郎の身体の状態を確認するとこれからの事を色々話をした結果『これだけ強かったら同盟は必要無い』と凛は結論づけ、帰っていった(アーチャーは見るからに落胆していた)。

二人が帰った後、チルノは暫く休むようにと念を押すと衛宮邸内に有る洋室で眠りに就いた(セイバーは士郎の隣の部屋で眠った)。

そして時間は経ち・・・

「ッ・・・朝か。今何時・・・って、もう7時か。早く起きないと」

朝になり、士郎はゆっくりと起き上がり、居間に向かって歩き出す。

「・・・そういえば、洋室でチルノが寝てたな。起に行くか」

居間に行く途中、チルノが洋室で眠っている事を思い出し、洋室に向かう。

コンコン・・・

「チルノ〜朝だぞ〜」

シーン・・・

「反応無しか。しょうがない、チルノ〜!入るからな〜!」

ガチャッ!

「・・・この部屋って元々こんな感じ・・・じゃ、ないよなぁ」

チルノの居る洋室に到着すると、士郎は軽くノックして起こそうとするが、全く反応が無い

やむを得ず、直に起こそうと部屋に入ると・・・そこは別世界であった。

まず、部屋がやたらと広くなっており(具体的に言うと前の3倍くらい)、其処に培養カプセルやら大型のコンピューターやら機械があちらこちらに設置されている他、立派なインテリアを備え付けられていた。

そして一番奥のベッドにチルノは寝ていた。

「凄いな・・・魔法でこうな風にしたんだろうな。っと!チルノを起こさないとな!」

ズルッ!

「どわっ!?」

ドテン!

「いつつ・・・何かに滑ったぞ?一体何に・・・」

スッ・・・

「ぶっ!?な、なんだってこんなのを脱ぎ捨ててるんだ!?」

士郎は部屋の中に有る物を見ながらベッドに辿り着き、起こそうと一歩踏み出した所で何かを踏み転ぶ。

腰をさすりつつ踏んだ物を持ち上げてみると、その正体は・・・チルノの下着であった。

チルノには脱ぎ癖が有るのだが、士郎はそれを知らないので大いに慌てる。

・・・まあ、健全な男子であれば実際知っていてもかなり狼狽するだろうが。

「・・・よく見たらベッドの周りに色々と散乱しているな。まさか、何も着てないって事は無いよなぁ・・・?」

士郎は恐らくそうであろうという思考を口にするが、言ったところでどうにかなる物でもない。

「ああ・・・クソッ!南無三!!」

バサッ!

このまま悩んでいても仕方ないので、士郎は意を決してシーツをめくった。

その結果目に入った物は・・・当然ながら一糸まとわぬチルノの姿であった。

「グハッ!!」

ブシャアア!!

当然というか、それを見た瞬間士郎は鼻血を噴き出して仰け反る。

「ん〜・・・」

その騒ぎに気付いたのか、チルノが目が目を擦りながら起き上がる。

「あ・・・」

「・・・」

そして寝ぼけまなこで士郎を視界の中に入れ、一瞬の沈黙の後・・・

「・・・」

スッ・・・

士郎に向けて指を指す。

ポウ・・・ポウポウポウポウポウポウ!

その指した指に小型の魔法陣が形成され、それに続いて魔法陣の周りにさらに小型の魔法陣が無数に形成される。

「ちょっ・・・!!」

「えっち」

ガヒュヒュヒュヒュヒュヒュン!!!

「な、なんでさ〜!!?」

チルノの言葉と共に放たれた魔力弾は士郎に殺到し、瞬く間に士郎の意識を刈り取った。

数分後・・・

「あはは・・・メンゴメンゴ!あたし昔から寝起き悪くて!」

「いや・・・俺も悪いしあいこだな」

しっかり目が覚めたチルノは、居間で士郎で謝っていた。

因みに、チルノの服装は昨日と違い黒のタンクトップに黒のミニスカート、黒のオーバーニーソで髪型はポニーテールにしている。

「しっかし、あの部屋はどうしたんだ?前はあんなんじゃなかったぞ?」

「あれ?魔法で空間を拡げて、造った物を置いただけよ。物作りは得意だしね」

「得意ですむか・・・?」

「まあ、それは置いといて・・・あたしこれから車を買ってくるわ」

「そういえばそんな事言ってたな」

「帰りに何か買って帰るわ。それじゃ、行ってきま~す!」

「気を付けてな」



1時間程度後 新都の自動車販売店


「い、いらっしゃいませぇ!!」

「車は買えるかね?」

「どうぞご覧くださいませぇ!!」

新都にある自動車販売店は半ば騒然としていた。

店にマフィアの集団が入ってきたのだ。

しかも極上の美少女を連れて。

当然店の中に居る者は、当然戸惑う。

「お嬢様・・・」

「はいは〜い!んじゃ、どんなのが有るか見させてもらいましょうかね!」

お嬢様と呼ばれたとても可愛らしい少女の声が合図となり、マフィア達は各々散らばっていく。

「メルセデス・ベンツ SLS AMG・・・これ良いんじゃない!?」

「ではリストに加えておきましょう」

「フェラーリとかランボルギーニも良いですよね。後アルファ・ロメオなんかも」

「では、リストに加えておこう・・・出来れば車種も頼む」

「そうですね・・・フェラーリだけならフェラーリ・612スカリエッティとかフェラーリ・F355とか」

「ランボルギーニならランボルギーニ・エストーケやランボルギーニ・シルエットなんかも」

「アルファ・ロメオはアルファロメオ・8Cコンペティツィオーネが良いですね」

「メルセデス・ベンツは種類が多いので割愛しますが・・・ファーザー、我々にはこれらを買う資金が有りません」

「あたしが居るからだいじょ〜ぶ!いくらでも有るからね!」

「「「お〜!」」」

「どうせこれから拠点を確保しなきゃいけないんだし、散財しまくわよ!」

「「「流石お嬢様!」」」

「いやん♪恥ずかしいじゃない・・・もっと褒めて



「・・・店長」

「何だ」

「いつからこの店はマフィアの支配下になったんですか?」

「知らんよ!政府の連中はな〜にをやっとるんだ!?あからさまに即逮捕される連中だろうが!なのにマフィアの令嬢を連れて堂々と車を買いに来るとは!正気の沙汰とは思えん!あれか、アル・カポネの孫娘か何かなのか!?」

「落ち着いてくださいよ!そんな事有る訳無いじゃないですか!・・・多分」

「確証は無いんかい!」

チルノが護衛と和気藹々と購入する車を選んでいる姿を遠くから見ながら店長と店員はまるで目の前の非現実的な事態から目を背けるが如く騒ぎ出す(幸いかどうかは分からないがチルノ達には聞こえてはいない)。

バァン!

「ヒャッハアァァ!強盗だァ!!」

「大人しく金をよこせェ!抵抗しやがったら、頭ねじ切ってオモチャにするからなァ!」

「ついでに車もよこせ!俺達が有益に使ってやるよ!」

その時、店内の状況を知らない3人の強盗(見た目はモヒカンのレ〇ダー)が店内に乱入して金と車を要求した。

ジャギギン!

「・・・あ、あれ?」

「チンピラ共め、武器を捨てろ」

「な、なあぁ!?」

「マフィアに囲まれてるぅ!?」

「大人しく武器を捨てた方がいいよ。ケガなんてしたくないでしょ?」

「な、なんだてめぇは!」

「この人達の雇い主」

「雇い主ぃ?ならテメェをのしちまえばなんとかなるかもしれねぇって事だな!死ねええぇ!!」

ズンッ!!

「おぐぅ!?」

「言動がアホ過ぎる上にノロ過ぎ!何か言う前に攻撃しなさいっての!」

「おう・・おう・・・」

「おやすみなさいっと!」

チョン

「おう・・・」

バタッ

当然すぐに護衛に取り囲まれ無力化されるが、血迷った一人が抵抗を止めろと諭したチルノに襲い掛かる。

が、直ぐ様チルノは腹部にめり込む強烈なパンチを打ち込み、ダウン寸前で呻いている強盗を人差し指で軽く押してダウンさせた。

「ふんじばっておいて。後で交番の前に置いていこ」

「分かりました」



「・・・店長、今度は強盗が入って来て例のお客に捕まってますよ?」

「もう、どうでも良い・・・夢だと思おう・・・」

「すみませーん!車を買うお金を払いたいんですけどー!」

「はいただいまー!」

「・・・転職するかな?」

その後、チルノ達が帰った後にはメジャーな高級車は軒並み無くなってしまい、暫く休業する事になったのはまた別の話である。

それから数時間後・・・

「・・・ってな事が有ったんだ〜・・・後、ハンバーガーって最高だよね」

「店の人は驚いただろうな・・・後、それは個人の好みだと思うぞ」

衛宮邸に戻ったチルノは、居間でハンバーガーを食べながら店で起きた事を話していた(買った車の内メルセデス・ベンツ SLS AMG、フェラーリ・612スカリエッティ、アルファロメオ・8Cコンペティツィオーネは近くの駐車場に停めてありその他の車は拠点を確保する為に散らばっている。因みにセイバーはゲオルグに話が有るらしく席を外している)。

「・・・ふう。そういえば、シロ君は魔術を使えるんだよね?」

「ん、まあな。ほんの少しだけだけど」

「・・・あたしが教えてあげよっか?」

「魔法と魔術は大分違うんじゃないか?」

「大丈夫。根本は同じみたいだし・・・それじゃあ早速始めよっか!シロ君はどんな魔術を使えるの?」

「使えるのは解析と強化と投影だけだな。あ、強化はそのまんま名前通りの魔術で、投影は物を作り出す魔術だ」

「それじゃあやってみて」

「ああ。まずは強化から・・・」

キュイイィィ・・・・

「・・・ッ」

「ちょっ・・・お馬鹿!!」

スパーン!

「ぶふぉ!?」

のんびり話していると魔術の話になり、チルノが少し魔術を教えてあげる事になった。

早速強化魔術を使おうとするが、異常を感じ取ったチルノがどこからか持ってきた巨大ハリセンで引っぱたき止める。

「痛ええぇ・・・何するんだよ!」

「何で一から回路を構築してるの!」

「え・・・?」

「いい?魔力を通す回路は一度開いてしまえば、あとは術者の意志でオンオフ出来るの!それを一から再構築するなんて、難攻不落の要塞にナイフ1本で特攻してるようなもんよ!?」

「そ、そんなにマズイ事なのか?何年も前からやってるんだが・・・」

「あーもう!今回路を確認するから動かないでよ!」

「あ、え?」

「う・ご・く・な!!」

「・・・はい」

キイイィィン・・・

「・・・うわーお。なんか凄い事になってるんだけど」

「?」

「シロ君、御先祖に魔王とか邪神とか居ない?」

「ま、魔王!?・・・多分居ないと思うけど、何かおかしいのか?」

「おかしいどころじゃない、異常よ異常!なんだって回路がここまで育ってるのよ!?普通ならどんな事をしても回路は変化しない筈なの!それを・・・はぁ。こりゃ何としても秘匿しきらなきゃね」

「えっと・・・それって、俺に見込みが無いからか?」

「逆よ逆。いい?良く聞いてシロ君。シロ君の回路は二十七本有るの」

「ああ」

「で、ここからが本題なんだけど、実質の本数は二百七十本なの」

「・・・はい?」

「つまり、シロ君の魔術回路は二十七だけ。でもシロ君の場合、一本の回路でその十倍の魔力が入るの」

「へ?そんな事、一流の魔術師なら当たり前なんじゃないのか?」

「馬鹿な事言わないで。他の魔術師にだって・・・いいえ、人間で有る限り不可能なはず。普通回路の数は、生まれてから数は変化しないの。ましてや回路の容量が増えて魔力量が増すなんてありえない。だからこそ、子孫を何代も経て回路の数を増やす・・・って、すっごい昔に知り合いが言っていたよ」

「そ、そうなのか・・・それで、その知り合いってなんて名前なんだ?」

「第二魔法の使い手で、宝石翁の異名を持つゼル爺ことキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。子供の頃はその弟子だったんだから!」

「・・・」

チルノは士郎に動かないように厳命し、士郎の回路を調べる。

調べ始めてすぐに士郎の回路の異常性に気付き、こう聞いた。

先祖に魔王は居ないか、と。

驚きつつそれを否定する士郎にチルノはだいぶ昔に知り合いに聞いた知識を交えて説明する。

「とにかく!シロ君は、このトンデモ回路を絶対にばれないようにする事!凛や、他の魔術師連中にばれたら洒落にならないよ!」

「?何で遠坂にはバレちゃいけないんだ?」

「私、凛の事は嫌いじゃないんだけどねー。私は魔術師って連中が信用出来ないの。なんていうか・・・そう、嫌な匂いがするんだよね」

「匂い?」

「あ、勘違いしないでね。凛の体臭がアレとか、そんな事言ってんじゃないから」

「いや、分かってるって(遠坂が聞いたら怒りそうだな)」

「私が言っている匂いっていうのは、多分親御さんの匂いね。殆ど残ってないから、10年位前に亡くなってるんじゃないかな?」

「・・・まるで警察犬だな」

「犬言うな!仔猫って言いなさい!・・・で、続きだけど、親御さんの匂いは目的の為なら手段を選ばなくて、傲慢で、自分勝手で、自分の選択が絶対に間違っていない、正しいと思っている奴の匂いにすっごい似てるの。多分これが魔術師って奴なのね」

「匂いだけでそんなに分かるのか?本当に犬みたい「次言ったらぶっ飛ばすわよ♪」すまん・・・」

「・・・そういう訳で、私は敵である限り魔術師を信用しない。例え知り合いでもね・・・まあ友達としてなら関係ないけどねー」

「・・・そうか。そういえば人間である限りって言っていたけど、人外なら結構居るのか?」

「んー・・・分かんないけど、あたしの周りには何人か居たよ。5百本だったり、七百五十本だったり。因みにあたしは二千八百五十本だってゼル爺が言ってた」

「何だろう・・・俺の回路数が霞んで聞こえるな」

「比べる相手があたし達人外じゃねー。ま、人間の中じゃシロ君はほぼ最高クラスだから十分じゃない?」

「それはそうなんだが・・・」

「回路の数は解ったとして、次は変に固まっちゃってる回路を開かないとね。あたしの部屋に来て」

「あ、ああ・・・」

数分後・・・

色々士郎と話した結果、魔術回路に問題が有ると判断したチルノはそれを解決する為に士郎自分の部屋に連れてきた。

「はい、これ飲んで」

「このりんごジュースをか?」

「見た目的にそう見えるかもしれないけど、昔行った事のある惑星に有った世界樹っていう大樹の数百年に一度しか実らない神聖な木の実をを使ってるから、多分効果はバッチリだよ。味も不味くないから飲んでみて」

「解った・・・美味い!」

「でしょ〜?今度パイでも作ったげる」

「楽しみにしてるよ。これで魔術回路が開いたのか?」

「うん。世界樹の実はそういう効果が有るっていうの言うのは確認済みだからね。苦い薬を飲んだり、痛い思いをして覚えるなんて時代遅れ!これからは苦くない薬や痛くない方法で覚えるのが今の時代にピッタリってね!」

「成程・・・」

「それじゃ、回路を切り替えてみて。簡単に出来る筈だよ」

「分かった」

キイィィン・・・

「本当だ・・・それに、身体を凄い量の魔力が流れている感じがする」

チルノは魔術回路を開く為に世界樹の実を使った飲み物を士郎に飲ませる。

その後回路が開いたか確認する為に回路の切り替えをさせてみると、見事に成功した。

「うん、成功ね。それじゃあ・・・このプラチックの棒を強化してみて

「・・・何処に有ったんだ?」

「この部屋に転がってた。別段重要そうじゃないし大丈夫っしょ?」

「多分な。それじゃあ・・・」

キイィン・・・

「凄いな。こんなに上手く行くなんて・・・」

「やり方が思いっきり間違ってたからねぇ。あ、その棒を貸して」

「ああ、ほら」

「ありがと。せーのっ!」

ボキッ!

「うえっ!?」

「ふんふん・・・十分過ぎるくらいに頑丈になってるね!魔術回路二百七十本は伊達じゃないね〜」

「あっさり折られたけどな・・・」

「後は解析と投影だったよね・・・氷帝の収集品部屋(アイスカイザー・コレクションルーム)!」

ヴォン!

「え〜と・・・有った!」

ヒュン!

「今度はこれで試してみて。魔力が通しにくいから気を付けて」

魔術回路の切り替えが成功すると、チルノは部屋に落ちていたプラチックの棒を手渡して強化させる。

結果は十分に満足出来る物で、最後の確認の為にチルノは自身の能力でやや肉厚な短剣を引っ張りだして士郎に渡し、解析と投影させてみる。

キイイィィン・・・

「解析、完了。このまま投影もやってみる・・・投影開始(トレース・オン)」

パキン!

「・・・成功した!こんなに完璧な形で投影出来たのは初めてだ!」

「ふんふん・・・さっきの放しうを聞いた限りだと、他の物でも試したんだね?」

「茶器とかそういった物だけどな。その時は形が歪だったり、穴が空いていたりしたんだ」

「って事は・・・シロ君の属性は『剣』だね。こりゃまた珍しい属性だこと」

「・・・?」

「あ、理解出来てないね?簡単に説明すると、シロ君は武器・・・中でも剣を投影する事に特化した魔術師だって事。戦争するにはもってこいの能力だけど、日常生活には完全に役立たずだよ。まあ今は聖杯戦争中だし良いんじゃない?」

「俺が一点特化型だったなんてな・・・やっぱり俺みたいなタイプは珍しいのか?」

「ん〜結構オードソックスじゃない?変わったタイプっていうと・・・あたしが使えるけど見たい?」

「見せてくれるなら」

「OK。ちょっと待ってね・・・」

数分後・・・

「っと・・・それじゃあ行くよ!」

見事士郎が短剣の完全な投影に成功した事を確認したチルノは、士郎の、属性とそれによって作れる物について説明する。

その過程でチルノ自身の『変わった魔法』を見せる事になり、チルノは準備を始める。

それから少しして準備されたのは氷の結晶が描かれた水色のエレキギターと二つのスピーカーで、士郎は期待と不安が半々の心境でそれを見ていた。

ギュイイィィン!!!

「ッ・・・!!」

そして準備を終えたチルノがエレキギターをかき鳴らし、それによって発生した極めて大音量の音波がs士郎を襲い数秒間だがあらゆる行動が出来なくなった。

「何だ今の・・・身体が動かなかったぞ?」

「今のが変わった魔法・・・サウンドスペル。音や歌声を用いて行う無詠唱の魔法だよ。効果は自分を含めた味方に能力をブーストしたり、逆に相手を弱らせたり出来る他に攻撃もできるよ。ほら、シロ君少しの間動けなかったでしょ?アレがそうだよ。使えるのはあたしとあたしの友達だけじゃないかなぁ?」

「何というか・・・本当に変わった魔法だなぁ」

「でしょ?あ、言い忘れてたけど明日から私もシロ君の学校に通うから」

「・・・なんでさ」

「いや〜あたしって高校なんて通った事なくてね!一度通ってみたかったんだ♪書類もぎぞ・・・ゲフンゲフン!ちゃんと用意して送ったから問題なし!」

「何か不穏な言葉が聞こえたんだが・・・気にしたら負けんだろうな」

「うん!」

「ですよね〜」

チルノが学校に転入してくると聞いた士郎は、『今まで生きてきて叶わなかった願いは一個も無かったんだろうな〜』と遠い目をしながら考えていた。


「・・・此処が冬木。マキリとアインツベルンの妄念の巣か。この地の土を踏むとは思ってなかったけど・・・」

その頃、冬木市の入口に位置する道路に黒色の塗装に炎のペイントが施されたカスタムハーレーが止まっていた。

それに乗っている人物は、上は背中にエクスカリバーを抱く翼を生やした女神が刺繍されたスカジャンを着ていて、下はアルマーニ製のオーダーメイドジーンズを身に付けている。

又、ハーレーと同じ黒色のフルフェイスヘルメットを被っている為顔は解らないが、発した声とヘルメットから出ている紫色の長髪から女性である事が解った。

「・・・今日はホテルで休んで明日から探し始めた方が良さそうね。市内に使い魔の魔力を感じるし。ベネットを連れてくれば良かったかしら?・・・まぁ、今更公開しても遅いか。取り敢えずホテルを探しますか」

ガッ

ドルン!

ガロロロ・・・

女性は何かを探している様で、ホテルを見付ける事を優先すると決めると、ハーレーを走らせ市内に消えて行った・・・


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