NOVEL
3
さっそく鬼退治の旅に出る事になった桃太郎。
自分できびだんごを作り、ついでに肉を焼いて持って行く事にいたしました。
その間におばあさんが桃太郎の一張羅の黒いスーツを用意し、
「これもあった方が萌えだろ?」
などとよく分からない事を言ったおじいさんが黒縁の眼鏡を持ってまいりました。
黒いスーツを身に纏い眼鏡を掛け壮絶な色気を漂わせた桃太郎が、おじいさんとおばあさんに別れを告げ旅に出発いたしました。
おじいさんはいつまでも泣いておりました。
おばあさんは
「今夜のおかずは何にしようかしら…。」
…本当にマイペースな人でした。
道すがら、犬、猿、キジの集団に出会いました。
「おーい、桃太郎。どこ行くんだ?」
そう聞く猿に事の顛末を言って聞かせると、
「なに?冒険か!オレも行くー!!」(猿)
「皆聞いてくれ。鬼ヶ島に行ってはいけない病が…。」(キジ)
「オレも!オレもそれ!!」(犬)
そう皆口々に言いましたが
「うるせェ!!!いこう!!!」
この猿の一言で同行が(勝手に)決まりました。
ノリノリの一匹とイヤイヤな二匹は桃太郎からきびだんごと(猿だけ)肉を貰い一緒に出発いたしました。
またしても時間の都合上あっという間に鬼ヶ島に辿り着きました。
いかにも鬼の住んでいそうなおどろおどろしい所を想像しておりましたが、実際の鬼ヶ島は妙に成金趣味の派手な所でした。
一瞬場所を間違えたかなと思いましたがちゃんと入り口の看板に
『楽しい鬼ヶ島
入場料一人2000ベリー☆』
と書いてあるので間違いないはずです。
「おい、入場料がいるんだってよ。」
と心配性のキジが言いましたが、こちらは遊びに来たのではなく鬼退治に来たのですからそんなものを払う必要はありません。
「そんなもんいるかよ!」
そう言った桃太郎が宣戦布告にその看板を蹴り倒そうとした時
「あら、入場料はきちんと払いなさいよ。4人(匹)分しめて8000ベリー♪」
そう言って右手の親指と人差し指で円を作った鬼の娘が胡散臭そうな笑顔で近付いてまいりました。
「なんて美しいレディなんだ!あなたのお名前は?」
「あたしはナミよ。ここの管理人兼(自称)女王様。アンタ達は何者?」
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