NOVEL
1

オレには毎日心配な事がある。

その心配のタネは目の前のコイツ。

クソコックだ。

でもコイツはオレのその憂いを知らねぇ。

その心配がオレの悩みである事など想像もしてねぇだろう。

例え知ったところで、笑って一蹴されて終わり。

その程度の悩みだ。

でもオレには重大な事なんだ。

ほらな、今だって…。


早朝のサニー号の洗面所。

目の前にはちと寝惚け気味のコック一人。

眠いのは分かる。

オレも眠いんだ。

オレのせいでテメェが寝不足だってのも理解してる。

嫌がるテメェに明け方までアンな事やコンな事しちまったオレが悪かった。

でもよ、頼むからその顔は他の奴に見せないでくれ。

その顔はマジでヤバいって。

オレも色んな意味で正視出来ねぇよ。


早朝のサニー号の洗面所。

目の前にはちと寝惚け気味のコック一人。

口元にはピンク色の歯ブラシ。

そして…口角から泡立った白い液体…。

そう、これがオレの悩みだ。


歯磨き途中に口から液体が流れ出るなんてよくある事だろう。



だから他の奴らなら全く気になんねぇ。

けどコイツはダメだ。

コイツだけはやっちゃいけねぇ。

ポケッとした顔で口から白濁って…

もう完全にアレにしか見えねぇだろうが!

アン時の顔そのものじゃねぇか!

そんな顔他の奴が見ちまったらどうすんだ!!

まあ、お子様トリオは分かんねぇだろう。

いや、以外とウソップ辺りは理解しちまうかもな。

フランキーやブルックは大人だから勿論気付くだろう。

これじゃあ奴らにズリネタ提供してるようなもんだろうが!

少しは自分のエロさを自覚しろ!

なんだテメェのそのエロさは?

誰がテメェをそんなエロくしやがった!

あ、オレか。

オレの日々の努力がテメェをここまでエロくしたんだぜ。

男冥利に尽きるってもんだ。

さすがオレ。

これからも、もっともっとテメェをエロくしてヤルぜ…って違うだろ!!

今言いてえのはそんな事じゃねぇだろうが、オレ!

何朝っぱらから一人ノリツッコミしてんだ。


話を元に戻そう。

とにかくオレが一番言いてぇのは。



『毎朝オレのムスコがやべえ』って事だ!!


他の奴らに絶対テメェのエロ顔見せたくねぇから毎朝一緒に歯磨きするのはいい。

時には立ったまま半分夢の中のテメェの歯磨きを手伝ってやるのも嫌じゃねぇ。

けどコレどうすりゃいいんだ?


朝立ちはションベンすりゃ収まるが、コレはそうはいかねぇだろ。

朝一でテメェを襲うわけいかねぇしよ。

万が一そんな事しようもんなら、当分セックス禁止令出されちまう。

それはすげえ困る。

マジ死ぬほど困る。

オレはどうすりゃいいんだ!!


早朝のサニー号の洗面所。

目の前にはちと寝惚け気味のコック一人。

口元にはピンク色の歯ブラシ。

傍らには、頭の中を真っピンクに染めた男が一人。


今日もエロくて可愛い恋人に翻弄されて、彼の悩みは解消される事は無かった。


《終》




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