NOVEL
1
オレにはすげぇ愛し合ってる恋人がいる。
同じ船の仲間達が言うには、オレ達はバカップルなんだそうだ。
でもまぁそう言われても仕方ないと思う。
なんせオレとアイツはみんなの前では喧嘩ばっかりのくせに、二人きりになるとそりゃもうイチャイチャしてるから。
そんな時のオレは普段の姿からは想像も出来ねぇだろうが、まるで子供みたいに素直にアイツに甘えたり我が儘言ったりする。
アイツもアイツでオレを独り占め出来る事がよっぽど嬉しいのか、膝の上にオレを乗せて自分の腕の中にギュッと抱きしめて至極ご満悦だ。
そしてまるで子猫でも愛でるようにオレの頭を撫で続けてくれる。
アイツはオレの髪を触るのが好きで、サラサラした手触りを楽しむように梳いてくれるんだ。
オレはアイツに髪を触られるとなんとも言えない位気持ちよくなっちまう。
始めは擽ったいようなむず痒いような感じなのに、撫で続けられるともう駄目だ。
よく髪を弄られると気持ちよくなって眠くなる人が多いと聞くが、オレの気持ちいいは違う意味。
身体が熱くなって息が乱れてきて。
触れ合っている体温や心音にオレの身体は一層熱を持って、アイツがオレの髪に触る度に痺れるような疼くような感覚が襲ってくる。
潤んでくる瞳や上気した頬を見られたくなくて、アイツの胸に顔を埋め息を整えようとするが上手く出来ない。
それどころかオレのその変化を楽しむように、髪を撫でていた指をさりげなく首筋や項に滑らせ、もう反対の手をオレの腰に回してくる。
アイツの手が腰からゆっくりと滑るように背中に回り、その手がオレの後頭部にたどり着くと、軽く髪を引っ張られ無理矢理上を向かされた。
その拍子に合った互いの視線。
潤んで膜の張ったオレの瞳と違い、まるで獲物を狙う肉食獣のように光った金色の瞳。
オレと同じモノを求めている筈なのに、余りにも自分と違うその瞳の力強い美しさに目を奪われた。
アイツもオレの瞳を射貫くようにジッと見つめていた。
次の瞬間。
金色の瞳に更に光が点って。
「…ッん!」
物凄い力で噛み付くようにキスされた。
すぐにアイツの舌が唇から侵入し、歯列を割ってオレの舌にソレを絡ませてくる。
まるでオレの全てを吸い込んでしまいそうな位激しく吸い上げられる。
そのキスの余りの力強さと気持ちよさにオレの口からは言葉にならない声が漏れるが、それを片っ端からアイツに飲み込まれていく。
それでも飲み込めなかったソレが、時折二人の間から漏れてくる。
「…んぅ。ぁ…っん。…」
「…!」
〔#次〕
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