NOVEL
06
また泣かせちまうと分かってたけれど、オレは躊躇なくオマエを抱きしめた。
「!ゾロ話は最後まで」
「オレはオマエが居てくれればそれだけでいい。オマエが側で笑ったり、泣いたり、怒ったりしてくれれば他は何もいらねぇんだ。…ガキなんていらねぇ!」
「!!!」
…ああ、やっぱりそうか。
あれはいつだったか。
ある島に上陸した時、オレはオマエと街を歩いていた。
オマエは楽しそうに街中を眺めていた。
でも正直オレはオマエを早く抱きたくて、宿に行くことしか考えてなかった。
そんな時オレに一人のガキがぶつかって来て、転んで尻餅をついた。
突然泣き出したガキに、オレはどうしていいか分からなかった。
その時オマエが、
「おいクソ坊主。大丈夫か?…ああ怪我はねぇな。さあ立て。もう泣くな。男だろ?」
それでも泣き止まねえガキに、
「よし!このおじちゃんが肩車してくれるってよ」
そう言ってオレの方を指差す。
驚いたオレが、
「はあ?テメェ勝手に決めんじゃねぇ。なんでオレがガキのお守りなんかしなくちゃなんねぇんだよ。ふざけんな!」
「だって仕方ねぇだろ。泣いてるガキ放っておく訳にはいかねぇもんよ。…それに、このままじゃいつまで経っても宿行けねぇぜ。いいのか?」
上目遣いで見つめてきたオマエに気をよくしたオレが、
「分かったよ。やってやるよ。その代わり、後でたっぷりサービスしろよ」
そう言うと
「仕方ねぇな。ガキを泣き止ませられたら、すげえイイ事してやるよ。まあ、せいぜい頑張れよ」
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