NOVEL
01
朝からアイツの機嫌が悪い。
それも明らかにオレに対してだけ。
なんでだ?
…心当たりが全く無い。
昨夜も明け方近くまで二人で激しいセックスを楽しんで、お互い何度も絶頂を味わった。
アイツは可愛く啼き続け、"気持ちイイ"だの"もっと激しく"だの"突いてくれ"だの強請り、オレがその通りしてやると、歓喜の声を上げてペニスからピュクピュクと白濁を飛ばし続けた。
その刺激で締まったアイツのナカに耐え切れなくなったオレが最奥に熱い淫を注ぐと、アイツは泣きながら、自分も再び白濁をオレの腹に飛ばした。
セックスの合間には繋がったままキスをして、キスしたまま、またセックスに縺れ込んで。
抱き合って、キスして、互いの指を絡め合って、下半身で繋がって。
"もうオレ達の間にはほんの少しの隙間もねぇな"ってアイツが嬉しそうに笑いながら言って。
それから幸せそうに涙を流した。
その姿が余りにも綺麗で可愛くて。
まだナカにいたオレのムスコがまた復活しちまって。
アイツは恥ずかしそうに笑ってオレをまた受け入れてくれた。
その間中オレはアイツへの想いを囁き続け。
アイツも涙と涎だらけなのに、すげえ綺麗な顔で一生懸命オレへの想いを返してくれた。
その必死さが嬉しかった。
幸せだった。
一生離したくねぇと思った。
アイツを知れば知る程、オレの中でアイツの存在がデカくなっていく。
普段クルーの前で見せる少し斜に構えた姿。
奴らに見せる朗らかな笑顔。
そしてオレだけが知っている、誰も見たことが無い本当の姿。
本当は素直であどけなくて、淋しがり屋で少し泣き虫で、優しくて愛嬌が在って。
そして非道く淫らで奔放で艶めかしい。
オレだけが見る事の出来るアイツの本性。
絶対誰にも見せはしねぇ。
一生。
もうアイツ無しの人生なんて考えらんねぇし、そんなもんいらねぇ。
オレの野望もアイツの夢も忘れた訳じゃねぇ。
けど、もう今はオレの野望はアイツのものでもあるし、アイツの夢はオレの夢でもあるんだ。
気が付いたらお互いそう思うようになっていた。
そうやってオレ達はこれからも離れずに生きていくんだ。
絶対離さない。
そんな風に考えていた。
アイツも同じ気持ちでいてくれているとばかり思っていた。
だから今朝の不機嫌の理由がさっぱり分からねぇ。
アイツのあのオレに対する態度の意味が理解出来ねぇ。
他の奴らには普段通りのくせに、オレには妙に素っ気ねぇ。
オレへの対応がやけにぎこちなく、目を合わせようともしねぇ。
一度だけ合った視線は、明白(あからさま)にすぐ反らされた。
昨夜はあんなに見つめてくれた綺麗な蒼い瞳は、オレから必死に逃げようとしていた。
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