NOVEL
1
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。
ある日おじいさんは海パン一丁で山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川に着き、川岸に座って沢山の手だけで着物を洗っておりますと、川上の方から大きな桃がドンブラコドンブラコと流れてまいりました。
「あら、大きな桃ね。拾いたいけれど重そうだわ。それに大き過ぎて余り美味しそうではないわ。どうしようかしら…。」
そんなゆっくりとした独り言を言っている間に桃は流されて行ってしまいました。
「あら残念。まぁ、いいわ。さぁ帰りましょう。」
…おばあさんはあくまでもマイペースな人でした。
さて、その頃しば刈りに行ったおじいさんはコーラが飲みたくて我慢出来なくなってまいりました。
でも大丈夫です。
コーラ好きのおじいさんはちゃんとお弁当と一緒に持ってきておりました。
しかしいざ飲もうとしたらコーラが冷たくありませんでした。
「スーパーなオレとした事が冷えてねぇやつを持ってきちまったぜ。」
コーラ好きとしては生暖かいのなど飲めません。困ったおじいさん。
太い腕を組み暫く考えておりましたがやがてナイスアイデアが浮かびました。
川に行って冷やせばいいのです。
「さすがオレさま。スーパーなアイデアだぜ!」
さっそく川に行く事にいたしました。
川に辿り着き、いざコーラを冷やそうとしたその時、ドンブラコドンブラコと大きな桃が流れてまいりました。
「なんだありゃ?!こいつは驚いたぜ。ばあさんにも見せてやるか?」
おじいさんはその桃を家に持って帰る事にいたしました。
「おうっ!今帰ったぞ。このスーパーな桃は土産だぜ!」
「あら、その桃。あなたが拾ったのね。食べられるのかしら。」
「さっそく今から切ってみようぜ。」
言うが早く桃を真っ二つに切ったおじいさん。
「はん?」
「まぁ」
なんと中から現れたのは可愛い可愛い男の子。
金色の髪、白い肌、蒼い瞳に巻いた眉のそれはそれは愛くるしい男の子が桃の中から飛び出して来たのです。
「アンタが切ってくれたのか。クソ助かったぜ!」
男の子がおじいさんの方を見て言いました。
〔#次〕
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