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小話(リボーン)
サンタさん、ありがとうございます!!(雲獄多め、獄←ツナ・山本・雲雀・骸・リボーン)
12月24日。
リボーンに呼ばれ、ツナ、獄寺、山本、雲雀、そして骸という珍しいメンバーで、彼らはクリスマスパーティーを開いていた。
当たり前のようにいがみ合い、戦地と化すかと思われたパーティー。
しかし、そこにとある食べ物が投下された事により、事態は一変し…


…今に至る。



「リボーンさん、これ、おいしーですね!!もーいっこくださいっ」

カーペットにぺたりと座り、ゆらゆら揺れながら満面の笑みで言う獄寺に、抱えられたリボーンが満足気に笑う。
獄寺はそのまま、ねだるようにとあるお菓子を貰い、包み紙をといて食べた。
リボーンが特注した、アルコール度数のハチャメチャに強い、ウイスキーボンボンを。

「ちょ、リボーン!!獄寺君もう酔っ払ってんだから、渡すなよ!!」

「良いじゃねぇか。本人も欲しがってんだし」

ツナが焦って取り上げると、獄寺はおもちゃを取り上げられた子供のように、寂しそうな視線を送った。
へにゃりと垂れた犬の耳が見えるようで、その可愛さにツナは何もかも許してしまいそうになる。

「あ、あと一個だよっ」

「はい!」

結局一粒渡してしまったツナだったが、責める者はいなかった。
ここにいる誰もが、獄寺に勝てる気がしないのだ。

「えへへー、リボーンさん、こんなおいしーのありがとうございますー」

「お前に気に入ってもらえて、オレも嬉しいぞ」

ニコニコの獄寺に、他全員の顔がにやける。
更に赤ん坊と戯れていれば、尚更可愛さが増すというものだ。
が、その赤ん坊がリボーンなのが、少し問題である。
ウイスキーボンボンを用意した時点で、下心が丸見えだ。

「君、いつまで隼人に抱き締められてる気だい?そろそろ咬み殺すよ」

血の気の多い雲雀が、我慢の限界に達した。
どこからともなくトンファーを繰り出し、リボーンに向ける。
ツナが悲鳴を上げた。
しかし、いつもなら真っ先に喧嘩を買うであろう獄寺は、ツナの悲鳴に対しきょとんとしながら、くるりと雲雀に向き直った。
いつもの鋭い眼差しとは全く違う、くりっとした黄緑色の瞳が、雲雀を射抜く。

「………隼人?」

動けなくなった雲雀は、ただただ獄寺を見つめる事しか出来ない。
そのまま数秒経ったあと、獄寺は何を思ったか、リボーンを下ろした。
そのまま微笑み、両腕を大きく開く。

「ひーばりっ、ぎゅー」

『…………!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?』

そして、幼さ満載にそう言った。
その場にいた全員が、あのリボーンでさえも例外なく、目を点にした。

「ぎゅーぅー!」

動かない雲雀に焦れた獄寺は、手をばたつかせて求めてくる。
雲雀はゴクリと唾を飲み込み、獄寺に向かって、求められるままにわなわな震える両腕を開いた。
ぱあぁっ、と輝く笑顔を見せた獄寺は、すぐさま雲雀の胸に顔をうずめ、背中に手を回す。
そして、幸せそうに擦りよりまでした。

「……っっっ!?!?!?」

突然の事についていけない雲雀は、とにかく獄寺の感触を体感しようと力を込めた。
サラサラした綺麗な銀糸が顔をくすぐり、ほんのりと低めの対応が心地よく伝わる。
アルコールの匂いの中、ほのかに香るのは、シャンプーの香りだろうか。
鍛えてはいるものの細い体に、自分とさして変わらぬ身長なのに、獄寺の方が体重が軽い事を思い出した。
アクセサリーで彩られた腕も細く、護りたい、という衝動にかられる。

(神様仏様サンタ様…ありがとうございます!!)

聖夜にふってわいた幸せに、雲雀は鼻血を我慢しながら感謝した。
しかし、そんな状況を他のメンバーが許すわけがない。

「雲雀恭弥、隼人君から離れなさい!!」

「一人じめはズリーのな先輩」

「獄寺を返せ」

骸を筆頭に、山本、そして何故か死ぬ気モード全開で威圧するツナが、各々勝手な事を言う。
雲雀は内心舌打ちしたが、このメンバーなら仕方ないだろう事も分かっていた。
腕の中のぬくもりを手放すのは辛いが、臨戦体制に入る。

「う?」

しかし、殺伐とした環境の中で、一人悠々と構えていたリボーンは何かに気が付いた。

「お前ら、獄寺が寂しそうだぞ」

その一声に、全員の威圧感が解かれ、視線が一点に集中する。
そして、みな一様に固まった。
リボーンの言った通り、獄寺はしょんぼりと寂しげに項垂れていたのだ。

「う…」

雲雀が離れ、一人残されたのが悲しかったらしい。
もしかしたら、争いを始めた事も不安を煽ったのかもしれない。
なんにせよ、いつもとの違いの大きさに、全員が慌てる。

「は、隼人ごめんねっ」

雲雀は慌ててトンファーを落とした。

「隼人君、別にケンカを始めたわけではないんですよっ」

骸からはいつもの余裕な雰囲気は全くない。

「ご、獄寺、寿司食べるか、寿司!!」

山本のにこやかさも、完全な焦りに変わっている。

「け、ケーキもあるよ、獄寺君!!」

ツナに至っては、炎が消えていた。
ぐずる中学生男子と、それに群がる男子四人という構図は、違和感満載である。
だが、相手が獄寺なのだから仕方ない。

「…ケンカじゃないの?」

『もちろん!!』

元気よく答えた彼らに、獄寺は落ち着いたのか笑みを溢した。

「じゃあ、ぎゅー!!」

可愛らしい要望に、当たり前のように、全員の顔がにやける。
事態は結局、押しくらまんじゅうのようにして終息した。
かに見えたのだが。

「ところで獄寺、お前サンタには何を頼んだんだ?」

リボーンの一言に、獄寺は素直に悩みだす。
本当もこうかは分からないが、サンタを信じる姿が微笑ましい。

「えと、新しいあくせさりーが欲しいって、お願いしました!」

「アクセサリーか…」

『アクセサリー…』

全員の目付きが変わった。
そして、それぞれ獄寺の頭を撫でながら、連絡を取り始めた。





次の日、獄寺の枕元に見知らぬプレゼントが大量に積まれていたのは言うまでもなく。
それを「サンタが来てくれました!!」とテンション高く言う姿に、どうやら本当にサンタを信じていたと発覚し。
獄寺は、また全員に頭を撫でられる事になるのだった。





++++++++++++

今日はクリスマスだから、ギリセーフなはず…と勝手に言ってみる(´ω`)

メリークリスマスでございます!!
記念日に、不調丸出しの文章で申し訳ないですが…
某ドラマのお嬢様のように、獄寺はまだサンタ信じてたら可愛いよね、という事でした。
本来は違ったんですが、一番収まりが良い方向に落ち着かせちゃいました(苦笑)


…サンタネタを最初からやれば良かったのに(^^;




20111225

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あきゅろす。
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