[通常モード] [URL送信]

短編
勉強会にて
『いやっはっはっはー…。』

「………。」

『ねーツナ、これ幻覚?幻?きっとそうだよねー!』

「…俺もそう信じたいよ…。」

私の数学の点数…5点。

ツナの数学の点数…3点。

「中津、沢田!お前らは追試だ!明日やるから、ちゃんと勉強しとけよ!」

「『はーい…。』」

「追試でもダメなら、最悪の場合、留年だからな!気合い入れて受けるように!」

「『はーい…。』」



これは…ピンチだ。






時は変わって、放課後。

『いやマジで留年はヤバいよ!流石にそれだけは避けたい!』

「俺も…だけど、今日は獄寺くん、ダイナマイトの仕入れ行ってていないんだー!」

ツナが頭を抱える。

あの秀才くんがいないのは…辛い!ハッキリ言って辛い!

『誰か他に教えてくれる人は!?あ、ビアンキさんとか良いんじゃ!?』

「無理無理!前にそう言ったら、問題破られた!」

『んじゃ…ハル!』

「教え方が支離滅裂だよ!」

『じゃあもう誰もいないじゃん!』

「どーしよ…留年だー!」

2人してギャーギャー騒ぐ。

…くそっ、落ち着け私!!

頼れる人が誰もいないなら、あとは…!

『ツナ、2人でやろう!』

「えぇ、俺らだけで!?」

『そう!教科書見て、協力すれば何とかなるよ!』

「でもなー…。」

『ふっふっふ、甘いねツナくん。』

指をチッチッと振ると、その指をツナに突き付けた。

『私達は学力的にはマイナスだけどね、数学的に考えれば、マイナス掛けるマイナスはプラスになるんだよ!』

決まった私!

「そ…そうかな?」

『そうだよ!じゃ、今から勉強しよう!』



そして、勉強会が始まった。



始まったけど…。






「菜月、『平行四辺形の定義』って…何?」

『えっとー…これを満たせば平行四辺形になるっていう条件?教科書に書いてあるよ、ほら。』

「なんか『定理』っていうのもあるんだけど…。定義と定理って違うの?」

『………。』

「多分、違うとは思うんだけど…。」

『え、どこらへんが?』

「………。」

面白いくらいに…はかどらない。

解んない所を聞いても、その答えが返ってこないんだコレが!

よって、解んない所は解んないまま。

どうしよ…。

頭をガリガリ掻いてたら、ツナが私を呼ぶ。

「菜月ー…。」

『なーにー?』

「確かにマイナス掛けるマイナスはプラスになるけど、マイナス足すマイナスはマイナスのままだよ…。しかも、余計に大きいマイナスに…。」

『………。』

図星。

あーダメだダメだ、思考がネガティブになっていく…!

私とツナの間に流れる空気も、重っ苦しくなった。

『………。』

「………。」

はぁー…。

『…ねーツナー…。』

「…何?」

『私、留年なんてやだよー…。みんなと一緒にいれなくなるじゃん…。』

獄寺や、山本や、京子や、花。

騒がしい面々だけど、一緒にいないと面白くない。

もちろん、ツナも。

『ツナもさ、留年なんてしないでよ?みんな一緒じゃないと、やだよー…。』



留年、したくない。



ツナにも、してほしくない。






「…だよね…解った、やれるだけやってみるよ、俺。」

『え?』

突然、ツナがそう言って、教科書とにらめっこを始めた。

「俺も、留年…したくないし。」

そして、照れたように続ける。

「実はさ、菜月と一緒なら留年してもいいかなー、とか思ってたんだけど…菜月の話聞いたら、ちゃんと進級したくなった。」

言い終わった瞬間、赤くなるツナ。

「勉強、するよ。だから…ここ解んないから、教えて?」

『………。』

「菜月?」

『…あ、うん!えと、これはー…って、ダメだあっ!』

思わず叫んだ。

頬が熱を持っているのを感じる。

多分、今、私の顔…赤い。

『ごめん、もう私帰るわ!』

「えぇ!ちょ、なんで!?」

『集中出来なくなったの!あとは1人で頑張って!』

私は鞄を引っ掴むと、走り出した。

「あ、ちょっと待って菜月!」

『何どーした!』

「あの…頑張って。一緒に進級しよう?」

『…もちろん!じゃ明日ね!』






《菜月と一緒なら留年してもいい》なんて。



勉強が手に付かなくなっちゃったらどうしよう?



明日、ちゃんと話聞かせてよね。



追試のあとの、お楽しみだ。











〜あとがき〜

君と一緒なら、留年だって。

注・いくら好きな人とだって、留年しちゃダメですよ!

皆さん、ちゃんと勉強してください。

…というのを、テスト期間中に勉強もせずに書く私。

お前が勉強しろぉー!!

はい、今からします。

では、ここらへんで。

あ、勉強する前に日記書k((殴

寧音

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!