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サブ長編
present:5
「…菜月、そろそろ止めといた方がいいんじゃ…」

『やだ!あとちょっとだけ〜。』

…あとちょっとだけと言いつつ、かれこれ1時間以上呑みっ放しなんだけど。

ご機嫌そうに笑いながらグラスを傾け続ける菜月を見て、はぁ、と溜め息を付いた。

発端は、リボーンを通じて偶然良いワインが手に入ったこと。

仕事終わりにそれを堪能しつつ、いつもは呑まない菜月にも勧めてみたらえらく口に合ったらしかった。

それからというものの。

『ワインってこんなおいしかったんだね〜!しらなかった〜。』

…これは、完璧に俺の責任だ。

いつもは全然呑まない菜月に、際限なく呑みたいままに呑ませ続けた、俺が悪い。

どうしたらいいんだと頭を抱えていたら、菜月がグラスの中身を一気に煽ってまたボトルに手を伸ばした。

流石にこれ以上呑ませる訳にはいかない。

「はいはい、もう終わり。」

『えー…。』

寸前でボトルを取り上げられた菜月は、不満そうな瞳で俺の方を見た。

『…あとちょっとだけだもん。』

「さっきからそう言って、全っ然ちょっとだけじゃないじゃん。」

『…んー…。』

だんだんと悲しげな表情になってきた菜月。

…くそ、可愛い。

でもここで負けるな、菜月の身体のためにも負けたら駄目だぞ、俺。

「もう、今日はだーめ。」

小さい子に言い聞かせるようにすると、菜月は俺の方にすりすりと寄ってきた。

そして、

『ツナぁ…ほんとにほんとにあとちょっとだけだから、ちょーだい?』

真っ赤な顔と、潤んだ瞳と、呂律の回ってない舌っ足らずな声。

はい、一瞬にして俺の逆転KO負け。

「…これで最後だからな。」

グラスにワインを注いでやると、菜月に喜々として抱き着かれた。

『ありがと〜!ツナすき!』

そのままちゅっと頬にキスされ、その後も、

『ツナだいすき!すっごいすき!いっぱいいっぱいすき!』

ぎゅうぎゅう抱き締められながら、菜月なりの愛の言葉と共に、顔中にキスの雨が降ってくる。

…それだけで本当に幸せな気分になれるんだから、俺はやっぱり菜月に甘いんだよな。

そんなことを漠然と考えてると、

『ふふふ、ツナあいしてる!』

最上級の愛の言葉と共に重ねられた唇。

珍しさに目を丸くしていると、なんと菜月の方から柔らかい舌が口内に入れられた。

しばらくは拙く動くそれに任せていたけど、そのうちに我慢出来なくなってこっちから絡め取る。

夢中になって幾度かそれを繰り返した後に、菜月を抱き上げてベッドに横たえた。

『…ねーえ、まだワインのんでないよ?』

「それはあとで、な。今はこっち。」

菜月のせいで、今日は俺も余裕が無い。

額に一度口付けてから、ジャケットを脱ぎ捨て華奢な身体に覆い被さった。



―――すっかり酔いが醒めた菜月に機嫌を損ねられるのは、翌日の話。

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