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星の物語-Novel-
第四章『別れ』
もうすぐ一ヶ月…
私は地上を離れなきゃなりません。

幸せとは何なのか…
私は未だに見つけていません…

一言に幸せと言ってもやっぱりすぐに理解は出来ません…

確かに人を幸せにしたい…自分も幸せになりたい…

普段は簡単に言えるのに…それが何なのかは簡単には言えないなんて…。

「ロゼッタ?どうしたの?」
「え?」
余程考えこんでいたのでしょうか…
「何かさっきから考えこんでたみたいだから…」
「う、ううん。何でもないの。ごめんね」
「そう?何かあったら言って?」
「ありがとう…ハルトくん。なんかさ…ハルトくん、変わったね。」
「そ…そうかな?」
「うん。初めて会った時は…引っ込み思案で内気だったけど…」
「う…」
「そんな中に優しさが隠れてて…。でも今は積極的に周りを気遣ってくれてる…。」
「…もしそう変わったのなら…」
「…うん?」
「もし変われたのだとしたら…それは、ロゼッタのおかげだと思うよ。」
「え…わたし?」
彼は透き通るような淡い青色の瞳で私を見据えて言いました。
「そう。ロゼッタのおかげ。ロゼッタに会わなければ、ロゼッタの言うような僕にはなれなかっただろうし…母さんがいなくなった時も…何も出来なかったと思う。」
「そんな…私……。」
自分でもわかるくらい顔が赤くなっていました。
「僕は…ロゼッタに会えて本当によかった。出来る事なら…ずっと側にいてほしいな…」
「え…。え?えぇ?!」
思ってもみなかったこの展開…。
「僕は…。僕は!ロゼッタがす…」
「待って!」
これ以上先は聞いちゃいけない。そんな気がしました。
「それ以上は…言わないで…。お願い…。」
「ロゼッタ…」
「私…私ね…ハルトくんに言わなきゃいけないことがあるの!」
言うならここしかありません。
「私…。私、ちょっと行かなきゃいけないところがあるの。それがどこかは言えないんだけど…。いつか…いつかね。きっと戻ってくるから…。その時に…さっきの続き…言って?お願い…。」
「…うん。わかった。待ってる。」
なんて優しい人なんだろう…。
やっと…幸せって事ががわかった気がする…。
私にとっての幸せ…それは…。
「ハルトくん。私、これから行ってくるね!またいつか戻ってくる!戻ってくるから…!」
「うん…待ってる…待ってるね、ロゼッタ。」
私の望み通り…彼は笑顔で見送ってくれた…。

その笑顔だけで私は勇気づけられました。

だから…きっと大丈夫…。

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あきゅろす。
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