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星の物語-Novel-
ファーストコンタクト
薄暗い路地の裏、俺は目的の人物を待っていた。
「まーったく。まさか時計が5時間もずれてるとは思わなかったぜ。」
俺は一人、壁にもたれかかりながら待ち続けた。
裏社会へと入る方法は二つ。
まず一つ目、直接「裏社会」の人間にコンタクトをとる。

二つ目、これは危険な方法だが、「裏社会」が気づくように、事件を起こし続ける。
俺がとっているのは一つ目の方法。
武藤の手助けにより、裏社会の人間が現れるであろう場所の近くに居続けている、というわけ。
「お客さんはまだかなーっと。ん?」
いつからいたのか、俺の足下に一匹の猫がいた。
「おーおー、どうしたー、にゃんこー。」
俺は猫を抱きかかえた。
猫はにゃー、と鳴き、俺をじっと見ている。
「俺に惚れたか?なんてな。あいにく餌は持ってないんだなー、これがー。」
そう、俺はロクな物を持っていなかった。

この時持っていたのは、ナイフ数本、銃が一つ。
あ、十分じゃないかって?食い物にもならないし、ロクじゃないと思うんだな、これが。
「ほれ、餌でも探してこい。」
俺は猫を放してやったが、猫は俺の足下にずっといた。
「んー…なんだかなー…。」
それから裏社会の人間が現れるまではその猫と戯れていた。
「ん、来たかな。」
この路地に一人。スーツを着た男が入ってくる。
「貴様か?私の組に入りたいというのは?」
「そうでっす。名前は加賀 亮介。よろしく。」
「…その猫は?」
「さっきできた友達ですね。名前はミケ。」
「邪魔だな。」
男はスーツの裏ポケットあたりに手を差し入れ、黒く光る物を出した。
そして、その黒く光る物で俺の足下にいた猫を。

殺した。

「な…。なにも殺す事ないでしょうが!」
「たかが猫一匹。それとも、裏社会へ入る為には優しさや同情が必要とでも思っているのか?」
「それは…。」
俺は言い返せなかった。
少し甘く考えていたから。
人探しの為に裏社会へはいるとはいえ、恐らく人を平気で殺すだろう。
殺すことに躊躇していれば、自分が殺される世界。
「で、どうするんだ?入りたいのか。それとも、怖じ気付いたのか。」
「ふん。まさか。」
俺は銃をだし、男に突きつける。
「ふむ。それが答えということか。」
「ま、そういうことですね。この覚悟、受け止めてもらってもいいですよ?」
俺は銃を持ったときからなんだか楽しくなっていた。
今なら平気でこの引き金を引けるだろう。
「…。いいだろう。明日、XX港付近の4番倉庫に来い。時間は…。」
「りょーっかい。時間は適当でいいすよ。今からそこにいきますから。」
俺はそう言うとそのまま港へ向かった。
「…。なんなんだ、奴は。少し洗ってみる必要があるか。」
俺はひたすら港へ向かっていた…はずなんだが。
そう、「はず」なんだが!
「ここどこだ?」
どうやら学校についていたようだ。
「どこをどうすれば学校へつくのかねぇ。」
俺は校舎を見て、ふと思った。
「ん…?この学校って。あの事件があった場所、だよな。」
殺人事件。今の社会ができる発端となった事件。
同じ学校で7人の殺しがあり、犯人も見つからないという事件。
そして、一人が行方不明になって終わりを告げた事件。
「あいつはどこにいんのかねぇ…。」
俺はその事件に関わっていたある人物を探す為に裏社会へとはいる決意をした。
その人物の名前は…
「なんだっけ。神崎…千春、だったよなぁ、たしか。」
ほんと最近物忘れが激しい。
というか、記憶すら曖昧である。
「どうなることやらねぇ、俺様。」
俺はこのあと、道行く人に道を聞いては歩き、聞いては歩きを繰り返す。
夜になるまでにはつけるだろう。

…たぶん。
あぁ、!たぶんな!!

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