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星の物語-Novel-
File No.6 事件の始まり
楽しかった一日が終り、終業式を終え…補習がない俺は家で寝転がっていた。
昼飯も食べ終え、昼寝でもしようかという頃に携帯が鳴った。

そして…この電話が全てを狂わせる事になる

「もしもし?どうした啓二?」

「…うか!?た…けてくれ!」
電波が悪いのか、まともに声が聞き取れない。
「あ?なんだって?」
「たす…てくれ!こ…され…うわ…」
そこで電話は切れた。
「…啓二?」
現状をちゃんと把握してた訳ではなかった。
だけど、啓二の身に何かがあったのは間違いない。
たしか今日は補習がある日のはず。
「間に合うか…?!」
俺は後先考えずに学校へ走り出していた。
「ったくなんだっていうんだよ!!」
思えばこの時…警察官である父に電話だけでもしておくべきだった。
しかし、俺にはそんな余裕はなかった。
学校に走り、向かいながらも啓二に電話をかけ続けていた。
「なんででねぇんだよ…!」
やっとの事で学校に着き、補習があったはずの教室へと向かう。
その時、かけ続けていた電話が繋った。
「もしもし?」
電話に出た相手は啓二ではなく、女の声だった。
「神崎?!なんでお前が…」
「いきなり叫ばないでよ!この携帯は拾ったの!」
怒鳴り返されて、俺は少し落ち着いた。
「すまん…悪かった。」
「わかればよろしい。」
「携帯を拾ったって事は学校だよな?」
「えぇ、そうだけど?」
「校門まで来てくれないか?」
「もういるけど?」
携帯からの声と、背後からの声がダブって聞こえた。
「おわぁっ?!」
「ほんっと、ご挨拶ねぇ…」
「悪い悪い…。」
「で?何かあったの?」
「あぁ…啓二から電話があ…」
俺がここまで言った時に背後で音がした。
ドサッと。
「…ん?なんだ?」
「何かしら…あれ…」
俺と神崎が音のした方へ駆け寄る。

…そこにあったのは
「な…なんだよこれ…」
…見知った奴の
「上田…くん…?」
…見るも無惨な
「なんなんだよこれはぁぁぁっ!」
…死体だった。
「早乙女くん!警察と救急車!」
「何で…何でなんだよ…」
「少しは落ち着きなさいよ!いつものように冷静な貴方になりなさいよ!」
「なれるかよ!啓二が死んだんだぞ!いきなり降ってきて…っ!」
俺が言い終わるやいなや…
「馬鹿裕!」
パンッ!
「っ…!」
神崎は俺の頬を思いっきり叩いた。
「友達なんでしょ?親友なんでしょう?!だったら何でこうなったかを考えたりしないで現実を受け入れなさいよ!いつまでもこんな場所に置いておくつもりなの?!」
「…。悪かった」
俺もやっと落ち着き、警察と救急車を呼んだ。
「こういう時に慌てても何も解決しないんだから。やれることをやるのが、その場に居あわせた人がやることなのよ?」
「ありがとう…」
「いいのよ…別に…って…何を!?」
「少し…こうさせてくれ…頼む…」
気付いた時には俺は神崎の肩に額を置き、力なく佇んでいた。
「…少しだけよ?」
「…っく…うっ…」
それから警察や救急車が来るまで…俺は神崎の肩を借り、声を堪えてただただ泣いていた。

そして、これはまだ始まりだという事を、まだ誰も知るよしもない

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