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星の物語-Novel-
別れ
謎の男と対峙し、逃げられたファイゼルはコロニーに戻る事も出来ずにモトゥブに潜んでいた
父ジェイドが死んだ地で…
「私もこのままここで死ぬのか…」
残っていた食料も少なくなってきていた
「父さん…。」
「珍しく弱気ね、ファイゼルさん」
「!」
突然の事に少し戸惑いつつも後ろに振り返るファイゼル
そこにいたのはイングリッドだった
「貴様…」
「貴様だなんてひどくないかしら?」
「貴様が全てを狂わしたんだろう!」
「…知ってるのね、全て…」
「あぁ…知ってるさ。父を殺し、妹達をさらい…タクトをそそのかし…次は私を殺すのだろう?」
言いながら剣を出すファイゼル
「…」
まるで「イエス」と答えるように無言で剣を出すイングリッド
「あのローブの男も貴様の仕業だろう?」
「…答えはこの先にあるわ」
「そうか…」
イングリッドへ駆けていくファイゼル
「その程度なの?」
振り降ろされた剣をひらりとかわすイングリッド
「まだまだ!」
舞うように連続で斬りかかるファイゼル

同様に舞うようにかわし続けるイングリッド
まるでダンスをしてるかのようだった「く…」
「私はね…貴方には闇に捕われてほしくないのよ」
「綺麗ごとを!」
「まともに聞いてくれなそうね。なら…」
避け続けていたイングリッドが攻勢に出る
「貴方の腕はこの程度なの?!」
「ぐ…」
攻撃を止めるので精一杯なファイゼル。
そしてついに武器を弾かれてしまった
「チェックメイトね」
「殺すのだろう…」
「殺しはしないわよ…」
「貴方は死にますけどねぇ…」
「え…?」
イングリッドが謎の声がした方を向いた瞬間血しぶきがあがる

「イ…イングリッド!」
「…そんな…私を裏切るの…?」
「ふふふ…貴方にはもう用がないんですヨォ。よ・う・ず・み、って事ですよぉ。ではさよなら、エリオットくん♪」
消え去る男に目もくれず倒れるイングリッドに駆け寄るファイゼル
「イングリッド…」
「敵の…私を心配するなんて…貴方は優しいのね…」
「…何を言ってるんだこんな時に…。今は喋るな…傷にさわる…」
「もう…私は助か…らないから…貴方に…真実…を…」
「頼む!もう喋らないでくれ!」
叫ぶ彼の目にはうっすらと涙が見える
「お願い…私の最後の…お願い…」
「……」
ゆっくりと頷くファイゼル
「ありが…とう…」


……
………
……


「…今話したのが全てよ…」
「…そうか…わかった…わかったから…」
「…私ね…貴方が本当に好きだった…愛してたの…」
「…わかってる…私だってイングリッド…君が…」
「ありがとう…ファイゼル…これが最後の…貴方に…あげられる物…」
「…」
彼女の差し出した手に握られていた物…
そしてそれを受け取った彼の手…
「貴方の闇は…私が…」
「イングリッド!まだ…まだ死ぬな!」
「さよなら…ファイゼ…」
握られていた手に力がなくなる
「イングリッド!イングリッド!!」
「…」
彼女が彼の呼びかけに答える事はもうなかった
「…彼女は…」
抱えていた彼女の横で呟き始めるファイゼル
「彼女はもう喋らない…もう笑わない…もう泣かない…もう…」
イングリッドから受け取った物…チョーカーを付け、ゆっくりと上を向くファイゼル
「許さない…彼女を殺した奴を…。この罪は許されない…。」

彼はもう動かない彼女を抱きかかえ、その地を後にした。

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あきゅろす。
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