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星の物語-Novel-
終焉へのカウントダウン
ジェイドは一人悩みつつも、それを乗り越えようと必死だった。

「アイリス…不安そうな顔をしていたな…」

今回の任務は、テロを企てようとしている組織の調査。
前回の任務で「奴」に仲間がやられたので、一人で任務についている。
「…ここか。」
惑星モトゥブにある、砂漠の一角。
ひっそりとある洞窟に一人入っていく。

『こちら……。目標が施設へと侵入』
『了解。戻っていいわよ』
『了解』

「おかしい…。罠も何もない…。」
ジェイドは不思議に思った。
本来なら、まだ動いてない組織といえど多少の罠はあるはず。しかし何もない。
「…まさか…」
ジェイドの脳裏をよぎる一つの答え。
「この施設が…」
『そうだ。』
後ろから声がした
「誰だ!」
振り向くが誰もいない
『私だよジェイド。』
「貴様…姿を表せ!」
『ククク…無茶言うなよ。私はお前自身だ』
「何を言っている!」
『ククククク…この先で待ってるぜ…』
それっきり声はしなくなった
「…行くしかないか」
先へと進む。

30分程進んだところで見晴らしのよい広間にでた。
「ここが中央部か」

テロ組織の一員らしき人物が数人、あたりを警戒している
「…人数はもう少し多い訳か…」
『…ようやく来たか。いいか、黙って聞けよ?』
「…」
『これは罠だ。あいつらはホログラフ、あそこにはいないんだ』
「なんだと…?」
『信じるも信じないもお前次第だがな』
「…」
その時…奥から見知った人物が現れた
「あれは…」
その人物はこちらを見てクスクスと笑っている
「イングリッド…だと」
「いつまでそこにいるつもりかしら?ジェイドさん♪」
(やはり罠か…)
「来ないのなら、無理矢理にでも来てもらうわよ?」
と言いながら手を上にすっ…とかざした。
(何をするつもりだ…)
その時。
『ターゲットヲ確認』
「な…!」
背後に急にマシナリーが現れた。
一体や二体ではない…集団のマシナリーが。
「く…」

「ようやく来てくれたのね♪」
「黙れ!」
とナノトランサーから大剣を出し、斬りかかる。
「なんだと…?!」
イングリッドは大剣を片手で受け止めていた
「この程度…?闇を解放しなさい。でないと…」
もう片方の手をジェイドの胸に当て…
「死ぬわよ?」
「グガァッ!」
閃光が走り、ジェイドは大きく飛ばされた。
衝撃はかなりのものだったらしく、口からは血がたれていた…
「ぐ…がは…」
「あらあら、手加減してあげたのに…」
「う…ぐ…貴様…一体何者なんだ…」
「私はイングリッドよ。貴方に恨みをもつ人間。」
「…恨み…だと?」
「貴方が私の父を殺したのよ。ある組織の一員だった私の父を…。」
イングリッドはうつむきながら、淡々と語っていく
「貴方は覚えてないでしょうね。闇化すると記憶は飛ぶのだから」
「闇…化?」
「知らないのね。呆れた人…」
「何なのだ!闇化とは!」
何とか立ち上がり、イングリッドを見据えて聞くジェイド
「知らない方がいいかもね…それに、知ったとこで貴方は死ぬわ」
イングリッドの目が変わる。
血のように赤い瞳が蛇のような目に…
「どう殺してほしい…?」
「あいにくだが殺されるつもりなどない!」
「ふふ…おあいにくさま。タイムアップよ」
「何を…」
その時。
ゴォォォンッ
「な…何なのだ今度は…!」
「さよなら」
「待て!」
イングリッドは奥へと消え、追おうとするジェイドの前には無数のマシナリー。
『ターゲットヲ外に出さない事を最優先』
「こいつら…」
長年のガーディアンとしての勘から、現状で一番可能性が高い物を考える。
「まさか…」

ジェイドの勘通りだった
「ここから出るのは無理か…」
『ククク…力を貸してやろうか?』
「黙れ!もし貴様が私の闇の面なら屈する訳にはいかん!」
『ククク…ハハハハハハ!そうかそうか!ならのたれ死ぬんだな!』
「く…」
現状は最悪。
思うように動かない身体、行く手を阻む数知れないマシナリーの群れ。そして爆破される施設。

「アイリス…すまん…」

ジェイドは諦めたのか…その場に佇む。
「ファイゼル…気を付けろよ…駄目な父を許してくれ…」
頬を流れる一雫の涙。
視界を包んだ白き光。
聞こえてくる爆発音。
頭に浮かぶ幸せだった時間。

光と爆発の中、一人のガーディアンが殉職した。

-施設近隣-
「あらあら、のたれ死んだのね。まぁいいわ…次へ行くわよ」
「はっ。」
施設を後にするイングリッド。

砂漠に残ったのは洞窟の残骸…一人のガーディアンの想い、ただそれだけだった。



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