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星の物語-Novel-
現実への回帰
沈黙の夜・・・いや、千春というべきか。

俺が彼女を探してた理由は、早乙女祐の意思によるものだった。

何で俺の中に奴の意思があるのか・・・。そんなものは知ったことじゃない。

とりあえず探す事はできたんだ。なら、ここで考えることは・・・。

そう、「次になにをするか」。

そこで俺は考えた。

一つ目。
彼女と愛の逃避行
・・は?馬鹿馬鹿しい。
なんで俺がそんなことをするんだ?奴じゃあるまいし・・・。却下だ却下。

二つ目。
なんで自分の中に別の人間の意思があるのか?
それは少し気になる。
いや、はっきり言ってかなり気になる。
だが、それを探そうとすると今までの自分の記憶は偽りになりそうだった。これは保留だな。

三つ目。
あの夢の続き、もしくはそれに関する事の情報収集。
赤い髪の男が俺だったとして、なんで今更そんな夢をみたのか?
これも気になる。
だが、ならまだ二つ目のほうが気になるな。

俺があれこれ考えていると、彼女が話しかけてきた。
「ねぇ、祐?」

ふざけるなよ・・・誰が祐だってぇの・・・。
「あいにくだが、今の俺は祐じゃあない。一応加賀と呼んでくれ。」

「一応?」
彼女は首をかしげながらたずねてきた。
そりゃそうだろう。一応、と言うからには偽名などの可能性があるのだから。
「あぁ、一応、だ。正直自分が一番混乱してるんだ。自分が誰なのか、怪しくなってきたからな・・・。」
「ふーん・・?」
今更思ったことだけども、俺ってこんな喋り方してたんだろうか?
それすらもあやふやになってくる・・・。
「ん−・・・・。」
「うん?どうしたの、加賀さん?」
「いやな、夢を見たんだ。それも気になるし、なんで俺の中に祐って奴の意識?ってのがあるのか。色々と気になってな・・・。」
俺がそういうと、彼女は真剣な顔をして語りだした。
「夢、っていうのがどういうのかはわからないけど、現実味を帯びた夢なら、それが加賀さんの記憶なんじゃないかしら?昔の記憶を、脳が思い出した、って感じ。」
「なるほど・・・。」
彼女のいうことはもっともだ。
「次に、祐の意識があること。これは説明しにくいけれど、あくまで可能性の話。笑わないで聞いてくれるかしら?」
「うん?笑う?今は少しの可能性でも信じたいところだ。」
「そう。なら、言うわね。祐は数年前の事件で死んだわ。それは知ってるわよね?」
「あぁ、一応。詳しく調べた訳じゃあないが、大体は知ってる。事件の被害者も調べたからな。」
「そう・・・。なら、事件の説明は省けるわね。それで、彼は未練があったんじゃないかしら?」
「未練?」
「そう、未練。強すぎる未練を持つ人の霊っていうの?そういうのがたまに憑依して現世に現れる、っていうのを聞いたことがあるわ。今回のことがそうなのかどうかはわからないけれど・・・。」
「未練・・・憑依・・・か。ありえない話ではないかもしれないな。祐が死んだのだとしたら、それくらいしか可能性はないだろうし。」
本当のところ、未練だの幽霊だの、信じる気はなかった。
だが、現に自分の意識とは違うものがあるのだから、憑依されていた、とすれば簡単に説明がつく。
まぁ、ばかげた話ではあるが。
「で、加賀さんの記憶のことだけど・・・。もっと「鍵」みたいのはないの?」
「んー・・・・。ないな。」
「・・・・。」
いや、待て。こういうときに役に立つ人物がいるじゃないか。
「悪い。電話か何かあるか?」
「え?あると思うけど。」
思うってなんだよ。
「ちょっと知り合いに連絡をとりたいんだ。貸してもらえるか?」
「構わないけど・・。多分、まだ繋がってるはず。下にあるから使っていいわ。」
「すまんな。」
そういって、俺は「彼」に連絡をとることにした。

これで、全てがわかればいいのだが・・・。

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