小説 華と散る 俺は物心ついたときからここにいたんだ。 いつか…広い空にむかって飛べることを夢見ていた 歳は16。名前は文人。 旦那様に拾われて何年だろう。 この紅楼閣(こうろうかく)では長いしお客様もとってる。 紅楼閣ではお酒の相手だけではなく身体の相手もある 俺は生まれついたときからここにいたしいろんな事情をみてきた 親に売られたもの 家族がなくなって行き場のないもの 自分で払えなくなった金を自らの身体で返すもの てっとりばやく稼ぎたいもの いろんな奴がたくさんいる 俺の場合は行き場がなくてひろわれたのかな? ここの旦那様である桐彦さんが小さい頃俺をかかえて帰ってきたのがきっかけなんだとよ 桐彦さんが俺の恩人なんだよなーありがたいよ。拾われなかったら多分死んでた さて、そろそろ終わりか… お客様をお見送りして片づけねぇと 「文人、離れがたいよ」 「俺もです、洋次郎様」 「ありがとう。今日も文人に癒されたよ」 「ん、洋次郎様…は、ぁ…」 「やっぱり可愛いね、娶りたいものだよ」 「あ、ありがたいです」 洋次郎様は毎回帰り際に熱い抱擁と接吻してくださるんだけど…本気で俺を買う気みたいなことばかりいうんだよね 洋次郎様は綺麗な方だから俺みたいな人間が洋次郎様のもとにいくことはないよ どんなにお金をつまれても俺はこの籠から出ることはない [→#] |