[携帯モード] [URL送信]

音のない世界で(本編)
…[3]


▼鈴side





 男の人は歩くのがはやい。
 ついて行くのがやっとだ。


 僕はつかれていたからか、とちゅうでこけそうになりながらついて行った。





「なぁ、ちっちゃい子捕まえたー」
「うわ、子供じゃんw 犯罪だろw」
「この子何歳?」
「さぁ」
「もうちょいこっち来て?顔が見えないからー」


 ついて行ったら男の人が増えた。
 この人たちここで何してるんだろ。
 僕みたいに家がないわけじゃないだろうし……。

 なんとなく怖くてしたをむいていたら、また手をひっぱられて……今度はちがう男の人が僕のほっぺをさわった。

 いっぱいさわられるのいやだ……。


「可愛いね」
「だから俺んち来る?って言ってたんだよな」
「とりあえず車乗る?ドライブしよっか」
「ぜんぜん喋んねぇじゃんw」
「そりゃ怖いからだろ」


 みんなが僕を見て笑いながら話してる。わるくち言われてるんだろう。ここにつれて来られたのって、いじめるためだ。きっと。


 僕はそう思ったとき、逃げることをきめた。
 だから男の人の手が僕をはなしたすきに、全力で走った。

 ともかく走って……。
 どこかに。



「は、逃げたww」
「逃げられると追っかけたくなるよな本能的に」
「捕まえよーぜ」



 少しだけ後ろをふり返ってみたら……さっきの人たちが追いかけてきていて……僕はおどろいて、つまずいてしまった。

 ドサッ

「う!」
「はい捕まえたー」
「なんで逃げんだよ」
「ゃ……めへ!」
「は?」
「ゃめへ、やめッ ……ぁーぁー! ぁめへッ」
「何言ってんのこいつ?w」


 なんで追いかけてくるの……。
 ほっといて……ッ。


 いじめられるのがこわくて泣きそうになる。





「何やっとんだ?野良でもいじめとるんか」



 泣きそうだったのが、目があつくなったら涙がでてきてそのまま泣いてしまった。
 男の人たちは別のほうを向いていて
 何だろうって、僕も同じほうを見た。


 おじさんがいた。
 もちろん知らないおじさんだ。


 人がいっぱいいて、そわそわしてしまう。
 人に囲まれるのが、やっぱりこわい……。


「何スか?」
「ホームレスじゃんw」
「おう、そうだ。それがどないかしたか」
「何だよ臭ぇ」
「野良いじめとるんか」
「野良?何だよ野良ってw」
「どうした、いじめられとるんか。おっちゃんが助けたるぞ」


 おじさんは僕に話しかけてきた。
 はっきり分からないけど、どうしたってくちの動きはよめた。


「ん?怪我したんか?」
「何だよこのおっさんw邪魔すんなよ」
「おっちゃんなぁ、怖い病気持っとるから近寄らん方がええで」
「え……怖い病気って」
「伝染するやつや。ほれ。触ったら移るんや」




 おじさんと話していた男の人たちがどこかに行ってしまった。


 良く分からないけど、ホッとした……。
 この人、助けてくれたのかな。




2018,5,22
2018,9,22…改訂


[*前へ][次へ#]

3/16ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!