音のない世界で(本編)
…[7]
▼鈴side
僕は歩きつづけた。
足が痛くて……いっぽすすむのがやっと。
行くところなんてないのに歩いていた。
光のあるほうへ……なにもかんがえずに歩きつづけて、キラキラひかるものを見つけた。
お月さまがなにかを照らしているんだなとわかって、そこまで歩いていった。
川? キラキラしてたのは水が光ってたからなんだ。
…………。
ここに入ったら死ねないかな。
ふかかったら、死ねるかな。
…………しんじゃおう。
僕は、それいじょうを考えずに、中に入っていった。
腰までつかったら、それいじょうはしずまなかった……。
水がつめたいだけだ、けど、ここにいよう。
「お前なにやってんだ?」
「……」
「おい」
「……」
「おい!」
「……」
「(こんなとこで自殺とかッ)」
ポチャンッ
?
うつむいていたら、そこに映っていたお月さまがゆれた。
「おいって!」
ポチャンッ
!
何かがとんできて
とんできた方を見たら……誰かがいた。
「お前なにやってんだって!」
「……」
……なんなんだろう……。
もう、いい、や……、お腹もすいて
ちからがでない……。
バシャンッ
「!!」
バシャバシャッ
…………。
僕はそこに座りこんでしまったらしい。
まだ夢のなかにいるみたいだった。
けど、冷たいってかんじるから、夢じゃないんだろうな。
それに、あたたかい誰かの……。
僕はそのまま眠ってしまった。
そこにいた誰かに、のこりの力をすいとられたみたいだった。
2018,7,18
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