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音のない世界で(本編)
…[6]


▼鈴side





 僕は夢をみていた。
 おうちがまっかになっている夢。
 母さん義母父さん義父が僕にたすけをもとめてきて。

 僕はなにもできなかった。


 母さんと父さんは怒っていて……
 何で助けないの、役立たずだって。



 バカでグズ。
 お前が死ねばよかったのにって。



 ジャマなしょうがいしゃ
 おまえなんていらない子なんだって。




 目が覚めたら僕は知らないばしょで寝ていて、よく思い出したら、ここがげんさんの家だと分かった。



 夢だった。

 ぜんぶが夢なら……。





 からだを起こしてまわりを見てみた。
 真っ暗じゃなくてうっすら明るいのは
 げんさんの近くにあかりがあるからだ。



 げんさんは真っ暗がこわいのかな。
 僕はそんなことを思った。



 それから僕は、どうしてか
 外が気になって、少しだけのぞいてみるつもりで、とびらの板をずらした。




 やっぱりまだ夜だ。

 ここからお月さまが見える。
 星も見える。



 お月さまは暗い空にうかんで、
 ポツンとさびしそうだと思ったけど
 星がたくさんいるからさびしくないのかもしれない。



 僕もお月さまになりたかったな。
 そうか、お月さまをさびしくさせない星になれたらいいのに。




 僕は……ひとりぼっち。

 げんさんが、優しくしてくれても……。







 にもつをもって、外に出た。

 どうしたいのか、自分でも分からない……
 けど、気づいたらそうしていた。


 助けをもとめたのは僕なのに
 さびしくてどうしようもなかった……。


 げんさん、ありがとう。






2018,6,7


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