1 僕はバイセクシャルだ。 中学の時遅い初恋をした相手が男だった。 それまで、恋とか性とかに無頓着だったのに、唐突に恋におちた。 考えてみれば、それはある意味で当然の結果だったのかもしれない。 幼少期から男子のみの学校に通っていたのだから、女子と恋に落ちる機会が通常よりも少ない。 だから、僕はバイセクシャルだけれど、公立の一般的な学校に通っていたとしたら、もっと早く初恋が訪れたかもしれないし、その相手も女だったかもしれない。 僕は今、幼少期から通い続けている男子のみの学校に在席している。中学からは寮に入る事を義務付けられている学校だ。 生徒の大半は僕と同じように幼少期から在席している。だから、僕と同じようにバイセクシャルな生徒が多くいる。 その学園内で僕は彼氏ができた。 僕の彼氏はとても上等な男で、僕の初恋の相手だ。 初めて恋をした当時、僕は何も分からなかった。ただ自分の感情に振り回されるばかりで、その感情の名前すら分からなかった。 それまで恋や性に無頓着で、そういった事にとても疎かったのだ。それでも遅い初恋をして、少しずつそういった事が分かりだした。 自分の容姿や、自分が周りの生徒達にとってどういう存在かとか。色々と分かりだした。 そして、運が良かったのか、僕は初恋の彼と結ばれた。 とにかく嬉しくて、世界中で僕が一番の幸せ者だとさえ思ったのを覚えてる。 でも、今はそうは思えない。 彼氏の事は今でも変わらず大好きだ。むしろ日毎愛しさが増していく。 けれど、それに比例して幸せが減っていく。 彼氏はとにかく上等な男なんだ。 格好良くて、頭も良くて、スポーツもできて、家柄も良い。 だから僕はいつでも不安なんだ。 変な奴が彼氏を無理矢理奪っていってしまうんじゃないかって。 だだでさえ僕の彼氏は浮気性なのに。 [*前へ][次へ#] [戻る] |